
ふたつのCを組み合わせたプロポーション
プロポーションにも新しいアイデアが採用された。フロントエンジン・モデルのヘッド・オブ・エクステリアを担当するアンドレア・ミリテロは、アマルフィのデザイン・コンセプトを次のように説明してくれた。
「アルファベットのCがふたつあると想像してください。そのうちのひとつを直立させ、もうひとつは水平に寝かせてから、Cの文字の切り欠いた部分が互いに噛み合うようにして組み合わせた形。これがアマルフィの基本的なプロポーションです」

ふたつのCのうち、直立したほうがフロントセクションで、水平に寝かせたほうがリアセクションを象徴している。

アマルフィを斜め後方のやや高い視点から眺めると、リアフェンダー部分がワイドに膨らんでいることがよくわかるが、これが水平に寝かせたCをイメージした造形である。リアフェンダーの膨らみは左右のドア部分まで続いているが、これは水平に寝かせたCの字の名残と考えていただければいいだろう。

いっぽうのフロントセクションは、上下に強く押しつぶした形状のCを想像していただきたい。ローマのフロントセクションは、フロントフェンダーの峰部分が明確に盛り上がっていたほか、ボンネット上のセンターバルジ(中央部分の膨らみ)を強調することでボリューム感を表現していたが、アマルフィのフロントフェンダーはローマに比べると穏やかな形状で、センターバルジもやや薄くなっているように思える。こうした造形が、薄くつぶしたCのカタチを連想させるというわけだ。

インテリア・デザインも、ローマのコンセプトを受け継ぎつつ、よりモダンな装いとされている。特に印象的なのがセンタートンネル部分で、その上部の幅をやや狭くするとともに、ダッシュボードの下まで水平に伸びる形状とすることで、広々としてすっきりとした印象を与えている。

いっぽうのローマは、センタートンネルの幅がアマルフィよりもやや広かったほか、ダッシュボードに向けて迫り上がる形状とされていたため、乗員に視覚的な圧迫感を与える要因になっていたという。
