
5月12日、世界各国で活躍する日立グループのビジネスリーダー360名が一堂に会する社内イベント「Hitachi Global Leaders Kickoff 2025」が初めて開催された。4月に日立製作所 代表執行役 執行役社長兼CEOに就任した德永俊昭氏や、日立アメリカと日立デジタルのCMO(Chief Marketing Officer:最高マーケティング責任者)を務めるアリヤ・バリラニ氏のコメントから、国や事業の垣根を越えて「真のOne Hitachi」実現を目指す同社の成長戦略をひもとく。
日立製作所が世界から360人のリーダーを集めた理由
日立製作所は2025年4月28日に新経営計画の「Inspire 2027」を発表した。360人(うち、外国籍が4割)が集まった今回のイベント「Hitachi Global Leaders Kickoff 2025」は、德永社長自ら「Inspire 2027」の概要を世界の幹部に共有し、現場レベルで「Inspire 2027」で掲げた目標をどのように実現していくかを示す場という意味合いが強い。
2027年度までの同計画において同社が重視するのがデジタル事業の「Lumada(ルマーダ)」。同社はLumada事業を売上収益比率の50%にまで引き上げることを目標に掲げると共に、将来的には、売上収益比率80%超、利益率20%超を目指すことも打ち出した(2024年度の売上収益比率は約31%)。德永社長はLumadaの加速には、各事業の連携を深める「真のOne Hitachi」が重要になると力説する。
Lumadaとは2016年に打ち出したコンセプトで、その本質はデータを活用し、顧客が潜在的に抱えている課題を日立グループが解決することを指す。
日立製作所はモビリティから産業機械、エネルギーなど多岐にわたる事業を長年展開してきたが、これらの事業から得られる知見の深さと、AIやビッグデータといった先端技術を掛け合わせ、顧客が自分たちだけでは生み出せないデジタルサービスを提供しようというのだ。
Lumadaの代表例として、2024年9月に発表した鉄道システム事業を担う日立レールの「HMAX(Hyper Mobility Asset Expert)」というサービスが存在する。
半導体メーカーのエヌビディアと協業し、処理能力に定評がある同社の産業用AIプラットフォームとカメラやセンサー、鉄道用の各種ソフトウエアを組み合わせることで、列車や線路の診断効率を飛躍的に向上させている。