台湾、蓮池潭の関羽像 写真/pespiero/イメージマート

 約1800年前、約100年にわたる三国の戦いを記録した歴史書「三国志」。そこに登場する曹操、劉備、孫権らリーダー、諸葛孔明ら智謀の軍師や勇将たちの行動は、現代を生きる私たちにもさまざまなヒントをもたらしてくれます。ビジネスはもちろん、人間関係やアフターコロナを生き抜く力を、最高の人間学「三国志」から学んでみませんか?

本稿は「Japan Innovation Review」が過去に掲載した人気記事の再配信です。(初出:2024年11月28日)※内容は掲載当時のもの

関羽の敗死と、3人の英雄記としての三国志の終焉

 多くの三国志ファンにとって、三国志の終わりとは、恐らく劉備配下の武将だった関羽の敗死でしょう。220年の樊城包囲戦で魏と呉の連携によって敗れ、呉の武将朱然に関羽は捕えられて斬首されました。1万の兵士に匹敵すると敵から恐れられた猛将、関羽の敗死は一つの時代が終わる合図となっていきます。

 2か月後の同年3月には曹操が死去、翌年の221年には張飛が部下に暗殺され世を去ります。関羽の仇討ちのために呉に攻め入った劉備と蜀軍は、呉の陸遜の火計によって222年に大敗、翌年223年に劉備は白帝城で病死。英雄たちは次々退場していったのです。

 後漢の崩壊後、最大勢力だった袁紹と曹操が雌雄を決した官渡の戦いは200年。この200年から関羽の死である220年までの20年間こそ、曹操、劉備、孫権の3人のリーダーが英知を尽くして争った時間、『三国志演義』が躍動感を持って私たちに語る英雄たちの時代だったのです。

 今回の記事では、関羽が敗死した220年から、次の区切りである孔明の死去(234年)までの期間について、関羽、曹操、劉備たち英雄の退場後に活躍したリーダーを分析し、次世代の育成について考察をしていきます。