ビジネス環境が急激に変化する中で、データの重要性はますます増している。その一方で、多くの企業がデータ活用の壁に直面しているのも事実だ。その大きな要因となる「データ起点」の思考を排除したからこそ成果を上げられたというヤマハのデータ戦略とそれを支えたDX人材の育成について、情報システム部DX戦略グループ主幹の濱崎司氏が語る。

※本稿は、Japan Innovation Review主催の「第7回 DX人材フォーラム」における「特別講演:「意思決定・行動のためのデータ戦略」~バックキャストからひも解く 推進に効果的な3つの視点とは~/ヤマハ・情報システム部DX戦略グループ主幹 濱崎 司氏」(2024年9月に配信)をもとに制作しています。

「意思決定・行動の変革」起点のデータ戦略に不可欠なDX人材育成

 ヤマハは、成長力向上と事業基盤強化を目指す中期経営計画「Make Waves 2.0」を2022年4月に掲げ、「新たな価値の創出」「プロセス変革」を重点テーマとしてDXに取り組んできた。その中で、「意思決定・行動の変革」のためのデータ戦略が着実に成果を上げつつあるという。

 データ活用において、「データがそろわない」「データで解決すべき課題が定義できない」といった課題に突き当たり、取り組みが思うように進まない企業は多い。濱崎氏はその原因を「データ起点で進めようとすること」にあると指摘する。

 本来は「意思決定」を中核として、必要な社内外データの位置づけを整理し、利用することこそが重要ということである(下図)。