東芝テック 代表取締役社長の錦織弘信氏(撮影:榊水麗)

 東芝テックの2大事業セグメントの1つである、ワークプレイスソリューション事業は、グローバルでスモールミディアムビジネス向けマーケットに強みを持っている。2024年には複合機のハードウエアを開発製造する新会社をリコーとの合弁で設立。自社に販売部門を残して、顧客とのタッチポイントを生かしたオフィスソリューションに注力する。世界的に印刷の需要が減少する中、どこに勝ち筋を見出しているのか。錦織弘信社長に聞いた。(後編/全2回)

スモールミディアムビジネスの働き方改革をグローバルで支援する

──リテールソリューションとともに、東芝テックの事業のもう1つの柱であるワークプレイスソリューションのビジネスは、どんな状況でしょうか。

錦織弘信氏(以下・敬称略) 当社の複合機ビジネスは、海外比率が非常に高く、また大手企業よりもスモールミディアムビジネスのお客さまに多く利用されています。

 スモールミディアムビジネスの場合、自社でシステムを開発するというよりも、外部のパートナー企業が提供するサービスを利用する傾向があります。当社は複合機(MFP)で築いたお客さまとのタッチポイントを生かして、ワークプレイスを革新するソリューションを提供していきたいと考えています。

 その時、オフィスのドキュメントを扱う司令塔としての複合機の役割が重要度を増すと思っています。コロナ禍の影響を経て、どこでも仕事ができる環境が加速しましたが、例えば出張先のスマートフォンからオフィスの複合機をリモートで操作して、報告書をプリントアウトするなどの新しい活用法を提案しています。

 また複合機の保守についても、センサーと遠隔監視機能を使って、故障時にいち早く駆けつけたり、逆にトナーなどのサプライ品の消耗が少ない時は、定期的な保守の間隔を柔軟に調整するなど、保守サービスパートナーの働き方を変革し、ビジネスを合理化するソリューションを開発しています。