傑作ミステリー『森から来た少年』待望の続編

『THE MATCH』
著者:ハーラン・コーベン 
訳者:田口俊樹、北綾子 
出版社:小学館(小学館文庫)
発売日:2024年5月2日
価格:1,485円(税込)

【概要】

 幼い頃に独り森で育った過去を持つ天才調査員ワイルド。コスタリカでの新生活を終えてアメリカに帰国した彼は、DNA鑑定サイトを使い生みの親を捜していた。亡き親友の母・豪腕弁護士ヘスターの協力を得て、父親と思われる男を捜し出したものの、母親が誰なのか、なぜ自分が森に捨てられたのかはわからないままだった。

 そんななかで母方の血縁者と思しき男PBからの4か月前のメールに気づいたワイルドは、彼と連絡を取ろうとする。PBはリアリティ番組のスターだったが、あることが原因で大炎上し、行方がわからなくなっていた。PBの周辺調査を進めるワイルドだが、やがて思わぬ事件に巻き込まれてしまう…。

 世界的ヒットメーカー、ハーラン・コーベンが放つ、傑作ミステリー『森から来た少年』待望の続編。

 

 それにしてもアメリカでは野心と野望と俗世の象徴がリアリティ・ショーのようで、『ザ・マッチ』は森で育った孤児ワイルドのシリーズ第二作ながら、リアリティ・ショーで一躍有名になった男ピーターの安否が関係してくるミステリーだ。

 DNAを手がかりにしたワイルドの血縁者捜し、DNAがマッチしたピーターの隠された生いたち、彼の落ちた罠、不正義をただす3件の連続殺人と、ストーリーは複雑に絡み合うが、書き巧者ハーラン・コーベンとあって、物語の中で迷子になることはない。

 ワイルドが森に捨てられた理由、最初で(恐らく)最後になるだろう両親との邂逅、抑えに抑えてきた亡き親友の妻子への思いなど、どこをとっても大人の物語。こちらもいっき読みしてしまった。

 

※「概要」は出版社公式サイトより抜粋。