後悔を残さないように
「(三浦)やっぱりコミュニケーション。相手が何を思っているのかも分からないですし、自分が言いたいことを秘めていても相手には伝わらないので。ちょっとしたことでも話し合うようにはしています」
「(木原)僕は信頼関係も大事だと思います。信頼関係がないと、この競技はすごく危険で女性は身を任せることができませんし、ペアとして成長していかないと思います。あとはお互いの思いやりですね」
コミュニケーションや思いやりの大切さは、ペアであれアイスダンスでも、そして他の競技あるいは他の分野でも指摘されることである。ただ、それを実行できるかは別の話だ。
「(木原)話し合うことも大切だと思うんですけど、もしこの場所でやらなかった場合の未来を考えて、そのとき絶対に後悔する、今この場所でやっておけば必ず変わるのが分かっているんだったら必ずやった方がいい、話し合った方がいいと思ったらそこでやるようにして、後で後悔を残さないように、と考えています。その時やっとけばよかったって思うくらいだったら、今このときにやろう、と」
「(三浦)結成して5年になるんですけど、何か相手が言いたそうにしてるなっていうのが分かってきたので、そのときは『何か言いたいことある?』と聞くようにしてます」
「(木原)聞くって実は難しいことで、お互い思っていることがあるのでどうしても喧嘩になりやすいんです。でも、そこでミスの原因を追求するのではなく2人でどうしたらよくなるのかを話し合うようになってからものすごくよくなったと思います。2年前のシーズンはできてたのかな?」
「(三浦)オリンピックシーズンはできてたんですけど」
「(木原)先シーズンは少し上を求めていく中でぶつかることがたくさんありました。今シーズンは怪我をしたことによってあらためて気づけてから、よくなったかな。四大陸後からはさらに磨きがかかって、お互いがどうしたらよくなるのかを常に話し合っていました」
そんな2人は今、自分たちの強みをこう語る。
「(三浦)ポジティブなコーチ、ポジティブなパートナーがいるので、支え合って全員がポジティブになれる。このチームのよさが私たちの強みかなって思います」
「(木原)そうですね。チームがポジティブ、チームの絆がものすごく強いことが強みかな。僕たちはどちらかが飛び抜けているわけではなくて、お互いがカバーし合って、さらにコーチがまた助けてくれる。チームの絆がほんとうに強みだと思います」
いわばチームとしての力を高めることができたシーズンを終えた今、すでにこれからへと目を向けている。
いや、「今」ではない。
「フリープログラムが終わった瞬間から『来シーズンは悔いのない練習をしたいね。シーズンスタートから仕上げでいるようにしたいね』って話をしていました」(三浦)
「怪我の影響で短いシーズンになってしまったし反省点も多かったので、試合が終わった瞬間から来シーズンに向かう話をしていました」(木原)
どこまでも成長を志す心で一致する。そこにも強さがうかがえた2人は、互いを支え合いながら、さらなる高みを目指して進んでいく。