最も憧れるスケーター
大島は「誰よりもたくさんアイスショーを見てきたという自覚があります」と言う。出演者となったのは一昨年の「プリンスアイスワールド」だ。
「見てきたからこそ自分なりに思いきりできる部分もありましたし、見ている分には楽しそうでも滑る側となると簡単ではなかったり、ギャップや難しさも実感しました」
昨年も「プリンスアイスワールド」に出演した大島は今年2月、「滑走屋」に出演する。
「本番の3日間だけじゃなくてリハーサルからの計10日間、ほんとうに合宿みたいな感じでスケーター全員で1つのものを目指して頑張っていく、今まで経験したことのない濃い10日間でした」
高橋大輔がプロデュースする公演であることにも大きな意味があった。大島にとって最も憧れるスケーターであるからだ。
「いちばん自分に影響を与えてくれたのがバンクーバーオリンピックです」
高橋が銅メダルを獲得した2010年の大会だ。
「ほんとうに『道』を観て憧れて、スケートを頑張ってきました。自分の使いたい曲の1つでしたし、絶対にやりたい曲でした」
実現したのは2021-2022シーズンのフリーだった。
濃密な時間を過ごしたことは影響をもたらした。
「自分の中でまだ決心はついていないんですけど、でもスケートの道に進んでもいいかな、と前向きに思うきっかけの1つになりました。ほんとうにまだ決めていないんですけど、あらためてスケートの楽しさだったり、スケートに対しての熱意だったり、自分でも再認識したショーになりました」
長年打ち込んできたスケートへの思いはかわらない。原動力は「スケートがほんとうに好き、というのがいちばん」だと言う。
「やめたいと思ったことは今まで一度もないです。ここまでお客さん全員に注目していただける競技はないですし、自分が主役になれる瞬間が絶対にある。他の競技と比べて表現できる部分の幅も広いので、それが好きな理由の1つですね」
自分自身を表すとしたら、「スケートバカって言葉が合うんじゃないですかね」と笑顔を見せる。
「『滑走屋』でまた実感したように、表現については掘れば掘るほど深い魅力があって、やっぱりそこの面ではほんとうに誰にも負けたくないという気持ちがあります。そういった部分はもっともっと伸ばしていきたいなと思っていますし、もちろんエレメント、技術面でも自分のレベルアップをしたいです。
やっぱり海外の試合にも出て海外のお客さんにも見ていただく機会があればいいなと思いますし、成績を残さないと見てもらう場所は限られてくるので、その場所を勝ち取るという思いでやっていかないといけないと思います」
6月に行われる「氷艶2024 -十字星のキセキ-」の出演も決定している。
——きっとスケートへの熱はきっとさめることはない。