今や運動靴という枠組みを飛び越え、1つのカルチャーとしても世界中で愛されているスニーカー。その魅力である軽快な履き心地と個性豊かなデザインは、一流の革靴を日々の相棒とする読者諸氏をも魅了してやまない。ここでは“本物”を知る大人の男が選ぶべきスニーカーを提案する。
写真=青木和也 スタイリング=泉敦夫 文=TOMMY 編集=名知正登
モノ選びの際に何を指針とするかは、非常に重要なポイントといえる。特に毎日のように各ブランドから新作モデルがリリースされ、選択肢も増え続けているスニーカーであればなおさらのこと。そこで今回は“スタンダード”をテーマに取り挙げる。いわゆる定番モデルだ。
日々進化し続ける最先端の機能やデザインが、ギアとしてのスニーカーを語る際に欠かせない要素であることは間違いない。しかしながら普段の着こなしにファッションとして取り入れることを前提に考えるとすれば、過ぎたる機能性やデザイン性はむしろ不要。それ以上に求められるのが、どんな場面にでもマッチし、どんな格好にも馴染む汎用性の高さ。
その点、ここでピックアップした5足をはじめ、定番と呼ばれるモデルの多くが長きにわたりファンから愛されるだけあって、普遍的かつ不変的な魅力を持った名作揃い。そんな1足との出会いが叶えば、貴方のスニーカーライフはより良くなるに違いない。
1. adidas Originals「STAN SMITH LUX」
“シンプルであること”によって示される出自とデザインの本質
トレフォイルロゴを象徴とするアディダス オリジナルス。その豊富なアーカイヴの復刻に加え、トレンドを反映させた新作・コラボモデルまでを展開するスポーツウェアブランドがアディダス オリジナルスである。
ここで紹介する「スタンスミス」もまた、パーフォレーションで表現されたスリーストライプスや、その名の由来となった伝説的テニスプレーヤー、スタン・スミス氏の顔が描かれたラベルなど、1973年デビュー当時のデザインを踏襲。厚みのあるレザーをアッパーとライニングに贅沢に使用し、経年変化の風合いを思わせるセイルカラーがレトロな味わいを添える。“LUX”というモデル名が示すように、シンプルながらも洗練された表情でデザインの本質に迫るプレミア