今や運動靴という枠組みを飛び越え、1つのカルチャーとしても世界中で愛されているスニーカー。その魅力である軽快な履き心地と個性豊かなデザインは、一流の革靴を日々の相棒とする読者諸氏をも魅了してやまない。ここでは“本物”を知る大人の男が選ぶべきスニーカーを提案する。
写真=青木和也 スタイリング=泉敦夫 文=TOMMY 編集=名知正登
今回、取り上げるキーワードは“コラボ・別注”。他のジャンルと同様にスニーカー業界でも、共創が通例化して久しく、むしろ新作モデルのローンチ以上に耳目を集めるホットトピックとなっている。
そもそも“コラボ”とは、異なるブランドやデザイナー同士が協力することで、双方の魅力を生かした新たなモデルを作り出すことを指す。これに対し、既存のアイテムを他のブランドやセレクトショップ、デザイナーなどが提案したデザインやカラーリングなどに仕様変更したモデルを“別注”と呼ぶ。
だが現在は、その両方を明確に区別することなく同じ意味合いで使われることも多々。それだけ“コラボ・別注”モデルが乱立している証左であるとも考えられる。
これらを踏まえて魅力を語るとすれば、共創によって高められたデザイン性と希少性がその第一。インラインモデルとは異なるデザインで周囲との被りを回避し、同時に個性を演出する一助となってくれるに違いない。
1. HENDERSON × BARNEYS NEWYORK
外羽根式デザインと高級感の融合こそ、エクスクルーシブたる所以
著名メゾンブランドのOEMにも携わり、洒落者たちから評価を集めるイタリア発の実力派ブランド、ヘンダーソン。本作はバーニーズ ニューヨークの依頼により、イチからデザインを起こして誕生したエクスクルーシブモデルである。
本来であればカジュアルな印象が強い外羽根式のアッパーデザインを、甲からトゥ部分を低く設計することにより、大人の装いにも似合う品の良いボリューム感を獲得。また素材には、ブランドの代名詞となっている良質なアメリカ産ディアスキンレザーを使用。
キメ細かくもっちりと柔らかな革の質感が、足に吸い付くような着用感をもたらす。オン・オフ兼用の万能モデルをお探しならば、ぜひ選択肢に加えてみてはどうだろう。