独自の審美眼を貫く、世界のレジェンドたち。政治家から作家、思想家、建築家、ビジネスエリートまで、彼らが身に着ける品々から、その生き様も見えてくる。いかに洋服を楽しみ、相手への印象を考えて装っているのか、ドレスファッションに精通するスタイリスト四方章敬氏が解説。今回は押しも押されもせぬ現役最高のメジャーリーガー、ロサンゼルス エンゼルス所属・大谷翔平選手の着こなしをチェック。投手としても打者としても超一流だが、ひとたび球場を離れたときは服装の“巧者”になれるのか!?
写真=アフロ 協力=四方章敬 編集・文/名知正登
“パワータイ”のVゾーンで示す決意表明
2018年2月1日、成田国際空港からロサンゼルスに向けて発つ前の一コマ。
「あれからもう5年経ったなんて! メジャーリーグでの活躍ぶりが濃密で、時が経つのを早く感じます。いざ出国するときは緊張の面持ちで初々しさがありますね。光沢のあるダークネイビーのスーツにレギュラーカラーのシャツはスタンダードですが、何よりも目を引くのが真紅のシルクタイ。エンゼルスのチームカラーである赤に合わせているんでしょうね。はつらつとした躍動感もあります。大事な場面で真っ赤なタイを締めることを“パワータイ”と呼びますが、相手にもアクティブな印象を与えます」。