写真/青木和也 スタイリング/荒木義樹(The VOICE) 文/長谷川 剛(TRS) 編集/名知正登

バッグをアイデンティティに持つ伊国発メゾン

 1925年、イタリアはローマに開いたファー工房併設の小さな皮革小物店がフェンディの始まり。創業者であるアデーレ・フェンディとエドアルド・フェンディは、バッグとファーを専門的に取り扱い、その品質や感度の高さから着実に人気を獲得していった。

 1965年にはカール・ラガーフェルドをデザイナーとして迎え入れ、総合的なファッションブランドへと展開を広げていく。発信力あるメゾンとしての地位を築くなか、改めてこだわりを注ぎ込んだのがブランドの原点でもあるバッグのコレクション。

 1997年にはフェンディの三代目、シルヴィア・フェンディの手により、名作鞄である「「バゲット」」が完成。短いショルダーストラップゆえに小脇に抱えやすい軽快なフォルムを持ち、その佇まいがフランスパン(=バゲット)然としていたことから、この名が付けられた。

 1990年代から人気を博したTVドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」の主人公が、この「バゲット」を身に着けたことで、大都会にて自分らしく颯爽と生きるライフスタイルの象徴として、このバッグが一躍世界的なアイテムとなったのである。

 またフェンディは2009年にも傑作バッグをリリース。鞄の表と内側のデザインにあえてギャップを持たせた「ピーカブー」は、フェンディらしくハイセンスにして遊び心を凝縮させた革新モデル。ウエアと同様に、もしくはそれ以上にアイディアを尽くしたバッグ作りに情熱を注ぎ込むメゾン。それがフェンディなのである。