写真/青木和也 スタイリング/荒木義樹(The VOICE) 文/長谷川 剛(TRS) 編集/名知正登

コートの代名詞と言える英国を代表する老舗

 バーバリーと言えば、その名称自体が長丈のコートを連想させる。それほどに日本人にとっても馴染み深い存在なのだ。ファッションに敏感でないご年配の方でも、バーバリー=コートと認識している人も多く、それは古くからこのブランドが本邦に根付いていたからに他ならない。

 バーバリーの歴史を知るうえで重要なアイテムと言えるのがトレンチコート。第一次世界大戦時の英国軍将校が、風雨や過酷な状況下から守るために作られた軍用外套であり、使用されているギャバジン素材は1879年に、創業者であるトーマス・バーバリーが開発したものとの記録がある。

 ギャバジン素材はそれまでの防水布とは異なり、しなやかで通気性を持ちながらも雨(水)の浸透を防ぐという、当時のハイテク機能生地だったという。そんな先進的な感度をもつバーバリーは、トレンチコート以外にも数多くの優良なウエアを手掛け、英国王室からふたつのロイヤルワラントを授与する堂々の名門ブランドとして世界に知られている。

 1999年からは著名デザイナーを招聘し、時代をリードするコレクション・ブランドとしての側面も打ち出し高評価を獲得。極めて英国的かつトラディショナルでありながら、創業者トーマスのスピリッツを引き継ぎ、先取の感覚も兼備するバーバリー。攻守にバランスの取れたブランドとして、極めて安定的に発展を続ける老舗なのである。