独自の審美眼を貫く、世界のレジェンドたち。政治家から作家、思想家、建築家、ビジネスエリートまで、彼らが身に着ける品々から、その生き様も見えてくる。いかに洋服を楽しみ、相手への印象を考えて装っているのか、ドレスファッションに精通するスタイリスト四方章敬氏が解説。今回は“鬼才”トム・フォード。ファッションデザイナーという肩書き以外にも様々な事業を展開する実業家としても知られ、近年では俳優として映画へと出演、映画監督としても自身が納めたフィルムを世界各国で上映するというマルチクリエイティブな才能を発揮している。60歳を越えても、代名詞でもあるセクシーなスタイルは健在!

写真=アフロ 協力=四方章敬 編集・文/名知正登

写真:IMAXtree/アフロ

威風堂々!ショー後にランウェイを歩くさまはモデル並み

写真:IMAXtree/アフロ

 2022年9月に行われた、2023春夏のニューヨークコレクションにて。ショー終わりの挨拶を手短に済ますデザイナーが多い中、トム・フォードは毅然としたスーツスタイルでランウェイを闊歩した。

「ブラックスーツ、白シャツ、ブラックタイといったモード感あるスーツスタイルですが、さすがはトム・フォード。大人の色気たっぷりです。大きなピークトラペル、幅の広いタイで貫禄十分。ゴールドのカラークリップ、光沢のあるブーツといったアイテムもラグジュアリーなムードに一役買っています。サンローランやディオールといったヨーロッパのモードブランドとは違うアメリカらしいクラシックテイストのスーツスタイルは大人の男性にぜひ挑戦してもらいたいですね。ちょっとシャツの袖が長いのが残念に思いますが、これも計算なのかも!?」