2人にとっては2度目、高橋にとっては10度目の世界選手権

2023年2月12日、四大陸選手権でフリーダンスを演じる村元と高橋 写真=USA TODAY Sports/ロイター/アフロ 

 2月には四大陸選手権に出場、会場は1800mの高地、薄い酸素に苦しめられたが無事大会を終えて、世界選手権を迎える。

 高橋にとって、1つの記念すべき大会でもある。シングル時代と合わせて実に10度目の出場であることだ。他の競技と比べて競技人生が長くないのがフィギュアスケートだ。その中で異例と言えるキャリアを重ねてきたことを証明する数字にほかならない。先にあげた四大陸選手権についても、初めて出場したのは20年前であったということは高橋のキャリアを示す1つだろう。

 しかも異なる種目でともに日本を代表するスケーターとなった事実を考えても、10度目であることの価値は大きい。

 今シーズンのフリーダンスは『オペラ座の怪人』。曲を選んだのはコーチのマリナ・ズエワだというが、この曲は高橋が2006-2007シーズンのフリーとして使用している。このシーズンに東京で行われた世界選手権で銀メダルを獲得、初めて表彰台に登ったときの演技も印象的だ。

 NHK杯のとき、高橋は16年を経て滑ることになった思いを話している。

「自分の中ではそれこそ十何年も前のことですし、(以前は)1人で滑っていました。今回は2人で滑っているので関連性はあまりなくて別なものです」

 その上でこう続けている。

「『オペラ座の怪人』の曲が大好きなので、いつかまた滑りたいと思っていたらこういう形で滑ることができました」

 村元もまた、「シングル時代の『オペラ座の怪人』は好きなプログラムです」と語っている。

 あれから16年、2人にとって思い入れのあるプログラムを、今度は2人で演じる。

 大会へ向けて、四大陸選手権後に村元は言った。

「今大会、現地に入ってくる前はすごくいい練習が積めて試合をする準備はできていたので。そのままの練習をこれから1カ月半、特にここ、というより全体的に滑っていくだけなのかなと思っています」

 いつも伸びしろを感じさせる2人は、2人にとっては2度目、高橋にとっては10度目となる大舞台でどのような世界を描くだろうか。

 まもなく大会は始まろうとしている。