(写真:ロイター/アフロ)

 米アップルの主要サプライヤーである、電子機器受託製造サービス(EMS)大手の台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業がインドで大規模な生産拡大を検討している。米ウォール・ストリート・ジャーナル米ブルームバーグなどが3月4日までに報じた。

バンガロールやハイデラバードへ

 鴻海は中国本土からの生産移管を進めており、インドで新たに複数の生産拠点を設置する可能性がある。これにより、スマートフォン「iPhone」の生産台数を年1000万台規模で増やすという。

 鴻海は現在、インド南部タミルナドゥ州のチェンナイ近郊にある工場で、iPhoneを年間600万台製造しているが、2024年までに2000万台に引き上げ、従業員数を3倍の10万人に増やすことを目指している。

 また、南部カルナタカ州で新たな生産施設を建設する計画で、iPhoneなどを製造する予定だと関係者は話している。さらに、中南部テランガーナ州のIT(情報技術)都市であるハイデラバードでも新たな生産拠点を建設する計画。半導体事業では炭化ケイ素の加工やパッケージングの施設を建設することも検討している。

 鴻海の経営トップである劉揚偉董事長(会長)はこのほどの訪印で、カルナタカ州のバンガロールとハイデラバードを訪れたほか、首都ニューデリーではナレンドラ・モディ首相と会談した。

 モディ政権は、高度製造業の雇用促進と電子機器の輸入依存低減を図る政策の一環として、電子機器メーカーの工場誘致を進めており、数十億ドル(数千億円)のインセンティブを導入している。