22年におけるサムスンの半導体購入金額は同2.2%増の460億6500万ドル(約6兆2900億円)だった。同社は折り畳み式スマホでリードしており、スマホ市場全体でシェアを拡大した。中国のゼロコロナ政策が競合他社に影響を及ぼしたことの恩恵も受けており、半導体消費の拡大につながった。

 ソニーGは、家庭用ゲーム機「PlayStation(PS)5」に対する世界的な需要が継続している。その半導体消費額の前年比伸び率は16.5%と、上位企業の中で最も高かった。一方で、年間を通じて深刻な半導体不足と物流網の混乱が続いたため、生産量を需要に見合う水準まで引き上げることができなかった。

 このほか、レノボやデル、歩歩高、小米、華為技術、HPの半導体消費額はいずれも前年から2桁減少した。ガートナーによれば、中国のゼロコロナ政策は電子機器のサプライチェーン(供給網)に深刻な材料不足と短期的な混乱をもたらした。自動車や通信機器、産業用電子機器市場における長引く半導体不足により、平均単価(ASP)が上昇し、これらの市場で半導体収益が増加した。その結果、22年の上位電子機器メーカーの半導体支出比率が低下した。

世界半導体市場、1.1%増の6017億ドル

 これに先立ち、ガートナーが公表した半導体市場リポートによると、22年における世界半導体メーカーの売上高合計(速報値)は6016億9400万ドル(約82兆1600億円)で、前年比伸び率は1.1%にとどまった。

 ガートナーのアナリスト兼バイスプレジデントのアンドリュー・ノーウッド氏によると、22年は半導体デバイスが不足する状況で始まった。納期が遅れ、価格が上昇したため電子機器メーカーは在庫を備蓄することで状況に対処した。しかし年後半になると世界経済が減速し始めた。インフレや金利上昇、資源高、中国のロックダウン(都市封鎖)といった重圧の下でグローバルサプライチェーンが打撃を受けた。

 パソコンやスマホの需要が低迷する中、消費者は支出を抑え、企業も景気後退を警戒してコストを削減し始めた。これらすべての要因が半導体市場全体の成長に影響を及ぼした。