現在ホンハイは、インド南部チェンナイ近郊のスリペルブデュールに持つ工場でiPhone 14シリーズを製造している。ホンハイはインドiPhone工場の従業員数を今後2年間で4倍にする計画だとも伝えられている。

 しかし、アップルの元エンジニアによると、インド生産はその体制が切迫感に欠けており、中国のような速いペースで進まないという。また、ある関係者は、物流や関税、インフラなどの問題がボトルネックとなり、アップルの計画が遅れていると話している。フィナンシャル・タイムズによれば、インドの委託製造業者は顧客の懸念への対応が遅く、変化に対する柔軟性に欠けるとも指摘されている。

アップルCEO「インド市場は非常にエキサイティング」

 その一方で、アップルにとってインドは可能性が非常に大きいとアナリストは指摘している。22年に4180億ドル(約55兆7200億円)だったインド製造業の輸出額は、28年に1兆ドル(約133兆3000億円)超に拡大する可能性があると、米コンサルティング大手ベイン・アンド・カンパニーは予測してる。 電子機器の輸出額は年最大40%のペースで成長するとみている。

 アップルも、インドに期待しているようだ。フィナンシャル・タイムズによれば、先の決算発表の説明会ではインドに関する言及が15回あった。ティム・クックCEO(最高経営責任者)は「私はインドに関して、とても強気の見通しを持っている」と話した。「インド市場は非常にエキサイティング」「最も重要視している」とも述べたという。

 香港のカウンターポイント・リサーチによると、22年のインドにおけるスマートフォンの出荷台数ベースのシェアは1位から、中国・小米(シャオミ)、韓国サムスン電子、中国vivo(ビボ)、中国・OPPO(オッポ)、アップルの順だった。アップルのシェアはわずか4%にとどまっている。しかし、出荷金額ベースで見ると、サムスン、アップル、vivo、小米、OPPOの順となる。サムスンとアップルのシェアはそれぞれ22%と18%だった。

 前述した通り、タタは現在インド南部のタミルナドゥ州でiPhoneの筐体を製造している。しかし、同社には台湾大手のように、アップルのフルサービスサプライヤーになるという野心的な計画があるという。米ブルームバーグ通信は22年9月初旬、タタとウィストロンが、インドでiPhoneを組み立てる合弁会社の設立に向けて協議中だと報じた。タタがウィストロンのインド事業に出資する、あるいは2社が共同でiPhoneの組み立て工場を建設する、またそのいずれもを行う可能性があるという。