米調査会社のIDCが1月25日に公表したリポートによると、2022年10~12月の世界スマートフォン出荷台数は3億30万台で、前年同期から18.3%減少した。
6四半期連続の落ち込みで、減少幅は四半期として過去最大。22年10~12月の出荷台数は前の四半期(同7~9月期)をも下回った。IDCのリサーチディレクター、ナビラ・ポパル氏は「ホリデーシーズンの出荷台数が前四半期を下回ったことはこれまで一度もなかった」と指摘している。
年間では11.3%減、13年以来最も少ない出荷台数
また、22年の年間出荷台数は前年比11.3%減の12億550万台だった。これは2013年以来最も少ない台数だ。消費者需要の大幅な落ち込みやインフレ、先行き不透明な経済を背景に、スマホ市場は苦戦が続いている。IDCはこれまで、スマホ市場が23年に2.8%のプラス成長へ回復すると予測していた。だが「この年末の結果は、予測値が大幅に下方修正されるリスクをもたらした」と指摘する。
22年10~12月期のメーカー別出荷台数は、首位の米アップルが7230万台、2位の韓国サムスン電子が5820万台。この後、中国・小米(シャオミ)の3320万台、中国OPPO(オッポ)の2530万台、中国vivo(ビボ)の2290万台と続いた。
アップル首位も14.9%減
これら上位5社の出荷台数はいずれも前年同期の実績を下回った。アップルは1年前と同様にサムスンを上回って首位に立ったが、前年同期比減少幅は14.9%となった。同社のスマホ「iPhone」は22年1~3月期から同7~9月期までプラス成長を維持してきた。iPhoneに対する需要は比較的レジリエンス(強じん性)があるといわれるが、ついに減少に転じた。ただアップルの減少幅は他の上位5社よりも小さい。サムスンは15.6%、シャオミは26.3%、オッポは15.9%、ビボは18.9%それぞれ減少した。
IDCのポパル氏は「(市場低迷)の影響を受けていないように見えていたアップルでさえ、中国の主要工場での予期せぬ封鎖により、サプライチェーン(供給網)の後退に見舞われた」と述べており、アップルの出荷減は、iPhoneの供給制約によるところが大きかったのかもしれない。
一方で、22年の年間出荷台数は1位から、サムスン(2億6090万台)、アップル(2億2640万台)、シャオミ(1億5310万台)、オッポ(1億330万台)、ビボ(9900万)の順だった。サムスンは前年比4.1%減、アップルは同4.0%減。中国3社はいずれも同約20%減少した。
スマホ市場、23年も振るわず
IDCのポパル氏は「22年10~12月期の結果が私たちに伝えていることは、インフレの上昇とマクロ経済への懸念の高まりが、引き続き消費支出を予想以上に抑制し、市場回復を23年末まで遅らせることだ」述べている。
また、IDCのアンソニー・スカーセラ氏は「世界の多くの主要市場で、スマホの買い替えサイクルが40カ月を超えており、消費者需要は減少している。23年は注意が必要な年になるだろう」と述べている。
23年のスマホ市場については、シンガポールに本部を置く調査会社カナリスもリポートを公表している。この中で同社は23年の世界スマホ市場が横ばいか、わずかな成長で推移すると予測している。カナリスのアナリスト、シュエン・チウ氏は、「インフレ圧力は徐々に緩和されるものの、利上げや景気減速、低迷する労働市場を背景に、成長の可能性は制限される」と述べている。