アマゾンは近年、荷物の保管や仕分け、発送に使用される施設での安全手順について複数の規制当局から調査を受けている。カリフォルニア州とニューヨーク州も独自に調査している。21年12月に発生した竜巻がイリノイ州のアマゾン倉庫を崩落させ、6人の従業員が死亡した事故の後にはOSHAの調査にも直面した。だが、このときOSHAはアマゾンの安全対策について問題をいくつか指摘したものの、罰金は科さなかった。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、この数年間、アマゾンの倉庫では同業他社の倉庫よりも高い労災発生率が示されている。同社は以前、他の企業よりも慎重に事故を報告していると述べており、同社の労災発生率が他社に比べ高く見えている可能性もあるという。

 ただし、アマゾンの一部の従業員は、一定時間にこなすべき仕事量の多さに不満を漏らしている。従業員は通常、1時間に数百もの商品を仕分けしたり梱包したりする必要があり、多くの場合反復動作になる。

カリフォルニア州で倉庫ノルマ規制法

 カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は21年、アマゾンなどの雇用主に対し、州内の労働者に適用されるノルマや職場生産性施策を開示することを義務付ける州労働法の改正案に署名し、法が成立した。

 倉庫ノルマ規制法とも言われるこの州法「AB701」では、休憩やトイレ利用の制限を含め、従業員の健康と安全に影響を及ぼすノルマや罰則を設けることを禁止している。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アマゾンのアンディ・ジャシーCEO(最高経営責任者)は22年初め、同社の労災発生率は「時々誤解されている」と述べたが、「改善する」と明言した。

 その一方で、アマゾンはオートメーション化への投資を拡大している。同社は22年11月、世界18の国・地域から報道陣を招き、マサチューセッツ州ボストン市郊外のロボット開発・製造拠点を公開した。同日初公開したのは、倉庫で商品の仕分けを行う最新のロボットアーム「Sparrow(スパロー)」だ。

 AI(人工知能)を活用し、異なる商品の形や色などを瞬時に認識。アームの先端で吸い上げて、仕分け用の箱の中にそっと置く。アマゾンによれば、Sparrowは同社総在庫の約65%に相当する数百万点の商品を取り扱える。このロボットはいずれ倉庫での一部の仕事に取って代わる可能性があるとウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。