拡大から一転、連続赤字と過去10年で最低の増収率

 だがその後、パンデミック時の勢いが弱まり、アマゾンの成長は減速した。同社の22年1~3月期決算は、売上高が前年同期比同7%増の1164億4400万ドル(約16兆3500億円)。1~3月期として過去最高を更新したものの、伸び率は過去10年間で最も低い水準となった。純損益は38億4400万ドル(約5400億円)の赤字で、15年1~3月期以来7年ぶりの最終赤字に転落した。続く22年4~6月期も20億2800万ドル(約2800億円)の赤字で、2四半期連続で最終赤字となった。

 22年7~9月期は純利益が28億7200万ドル(約4000億円)となり、3四半期ぶりに黒字化したものの、22年に入ってから9月末までの赤字額は30億ドル(約4200億円)になる。

 アマゾンは先の決算発表で22年10~12月期の業績について、売上高が前年同期比2~8%増になる見通しだと説明した。営業利益は0~40億ドル(約5600億円)にとどまると予想している。米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、このときアマゾンのブライアン・オルサブスキーCFO(最高財務責任者)は「消費者がインフレの影響を受けている兆候がある」とし、10~12月期は財務的に厳しい四半期になると警告した。

初めて大規模解雇

 アマゾンは22年10月、主力の小売部門でオフィス職の採用を年内凍結すると明らかにした。22年11月2日にはこれを拡大し、クラウドサービスを含む全社でオフィス職の新規採用を数カ月停止すると明らかにした。こうして同社は新規採用を抑制することで、自然減による人員減少を促していた。今回の報道によれば、同社は初めて大規模な解雇に踏み切ることになる。ニューヨーク・タイムズによると、アマゾンは2001年に当時の全従業員の15%に相当する1500人を解雇した。18年には数百人を解雇したが、今回のような1万人規模の解雇は初めてだという。

 アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏は先ごろ、景気動向についてツイッターへの投稿で「危機に備え、防備を固めるときが来た」と述べていた。

 米CNBCによると、同氏は22年11月13日、米CNNとのインタビューでリセッション(景気後退)に陥る確率について触れ、「今がリセッションでなくても、すぐにそうなる可能性が高い」と指摘。「私からのアドバイスは、何かを購入する場合は少し遅らせた方がよいということだ。手元資金を残して、しばらく待とう」と述べた。