アナリストら、「アマゾンは以前よりも利益重視」

 雇用面では、主力の小売事業でオフォス職の採用を年内凍結すると、米ニューヨーク・タイムズなどが10月4日に報じた。

 また、22年9月にオンラインで開催したハードウエア製品の発表イベントで披露したのは、多くが既存製品の改良版だった。家の中を走り回る小型ロボット「Astro(アストロ)」を発表した前年のイベントに比べて規模が小さいと言われた。

 こうしたアマゾンの動向について、米金融サービス、DAデビッドソンのアナリスト、トム・フォルテ氏は「総合的に見ると、アマゾンは以前よりも利益を重視しているようだ」と指摘している。

重点分野への投資継続中

 その一方で、同社は重点分野への投資を続けている。例えば22年7月には、診療サービスを手がける米ワン・メディカルを総額約39億ドル(約5700億円)で買収すると発表した。

 22年8月には、家庭用ロボット掃除機「Roomba(ルンバ)」を手がける米アイロボット(iRobot)を約17億ドル(約2500億円)買収することで最終合意したと発表。22年9月には、物流施設内のロボットシステムなどを開発するベルギーのクロースターマンズ(Cloostermans)の買収も発表した。

 雇用面では、時間給従業員の初任時の平均時給を19ドル(約2800円)超に引き上げ、今後1年間の人件費を約10億ドル(約1500億円)増やす。22年10月には、米国の物流拠点で新たに15万人を採用すると発表した。

 こうした投資動向についてジャシーCEOは10月10日に開いた全社会議で「アマゾンは数多くの事業に投資しており、それは今後も続く」と述べた。「長期的に存続する優れた企業は常に、押しと引きのバランスを保つ。当社のように複数の事業を展開している場合、一部の事業が拡大すると同時に他の事業が止まることもある」と社員に説明した。

 (参考・関連記事)「アマゾンも採用凍結、主力小売事業・世界規模で | JDIR