完全自律ロボットや高速スキャン技術
アマゾンは22年6月に、さまざな物流向け自動化技術を発表した。同社初となる完全自律走行型搬送ロボット「Proteus(プロテウス)」や、荷物ラベルを高速にスキャンする「AR ID(Amazon Robotics Identification)」などだ。 前者は、「GoCart(ゴーカート)」と呼ばれる荷車を持ち上げて搬送する。走行エリアは限定されず、従業員がいる場所でも安全に移動する。
後者は、120フレーム/秒で動作するカメラでバーコードを読み込む技術。これにより、従業員は両手で荷物を扱える。アマゾンによれば、一般に物流施設では、従業員が片手で荷物をビン(荷物箱)から取り出し、もう片方の手でハンドスキャナーを持ってスキャンしている。AR IDはこの作業が大幅に軽減され、高速化できる技術だという。
AI活用のロボットアームも
アマゾンは、「Cardinal(カーディナル)」と呼ぶロボットアームも開発している。人工知能(AI)とコンピュータービジョンを用い、荷物の山から目的の荷物を素早く選別し、持ち上げてラベルを読み取り、GoCartに積み込むシステムだ。現在、最大22.6キログラムまでの荷物を扱える試作機を試験運用しており、23年にもフルフィルメントセンターに導入する予定だ。
アマゾンの物流事業については先ごろ、同社が大規模な倉庫建設プロジェクトを推進中だと報じられた。同社は現在、電子商取引(EC)需要の成長鈍化に伴い、増えすぎた物流施設の収容能力を削減している。急激なインフレ進行による消費の冷え込みや、巣ごもり需要の一服がその要因だ。
しかし、必要と判断した分野に集中投資する姿勢はこれまでと変わらない。今後も物流向け自動化技術への投資を続ける方針だ。
(参考・関連記事)「アマゾン、緊縮中も物流施設巨大プロジェクト推進へ | JDIR」