アップシューマーによると、アプリ開発企業向けオンライン広告市場におけるアップルの台頭は、電子商取引(EC)内広告の市場における米アマゾン・ドット・コムの台頭と同様の現象だという。

アップル、広告人員2倍に

 こうした中、アップルはデジタル広告部門の人員を急増させる計画だ。英フィナンシャル・タイムズによると、現在、アップルのデジタル広告部門には約250人の社員がいるが、同社は216人を新規採用する計画だ。20年時点の採用数56人のほぼ4倍を新たに募集するという。

 職種はプロダクトデザイナーやマネジャー、データエンジニアやセールススペシャリストなど。採用地は主に米国だが、欧州でも約27人募集するほか、中国で12人、インドで12人、日本で4人、シンガポールで2人採用する。

アップル広告事業、4年後に300億ドル規模

 米金融調査大手エバコアISIによると、2010年代後半、アップルの広告事業の売上高はわずか数億ドル程度だった。これが22年は47億ドル(約6800億円)になるとみられている。さらに、26年には304億ドル(約4兆3800億円)にまで増大するとエバコアISIは推計する。

 グーグルとメタの21年における広告売上高はそれぞれ2090億ドル(約30兆1200億円)と1150億ドル(約16兆5700億円)だった。これらと比べればアップルの広告事業はまだ規模が小さい。

 だが、アップルは過去2年で、App Storeの広告事業を2度拡大しており、今後も拡大する計画を立てている。世界稼働台数が10億台以上と言われるiPhoneの顧客基盤は大きく、グーグルとメタのデュオポリーに変化が生じる可能性は十分にあると指摘されている。

 (参考・関連記事)「フェイスブック成長鈍化の理由はアップルの広告規制 | JDIR