今回は、以前掲載した「中小製造業A社の改革物語」のその後についてお話しする。

当時A社が描いた
・現在の顧客の業績に左右されることなく、幅広い顧客と付き合いたい。
・製品の付加価値を高め、利益率を高めたい。
・自社の技術を生かしながら、従来の事業分野とは異なる領域に進出したい。
・自社ブランド製品を生み出したい。
・新しいことにチャレンジをし、常に変化に対応できる人材を作りたい。
・日本でモノづくりを行い続けるためにも、成長する海外市場での事業を行いたい。

というあるべき姿に対して、その後どうなったかをお伝えしたい。

その後のA社の改革物語

 2年後、A社の売り上げは、それまでに比べて20~25%増となり、黒字転換を図ることができた。売り上げ増、利益増の大きな要因は、新規事業が成功し、現在売り上げの約20%を占めるまでになったことである。

 新エネルギーに関連した事業が世の中のブームにも乗り、順調に成長してきた。しかし、新エネルギー事業の立ち上げに留まらず、A社ではこの2年間、さまざまなことにチャレンジした。モノづくり(製品・事業)、人づくり(人材)、仕組みづくり(管理システム・情報システム)に対していままでとは違った考え方、やり方で改革を行っている。すべてのことが順風満帆とは言えませんが、以前に比べると新しいことに挑戦するという空気が濃くなった。それぞれの改革について、詳しく見ていこう。

モノづくり改革

 新製品開発や新事業開発においては、先述した新エネルギー関連事業が会社業績に大きく貢献しているものの、そのほかにもいろいろな改革活動を行ってきた。

【グローバル事業】
アジア市場での拡販を目指して、現地販売パートナーと連携し海外工場を新設した。1年目は、工場は作ったものの、なかなか売り上げが伸びず苦労したが、現地社長自らが独自の販路を開拓し、2年目にして売り上げが増えてきた。その後、大きな環境変化もあり、現在での苦戦は続いている。

【産学連携による開発力アップ】
地元の大学や専門学校と連携して、学校で考えている新技術の製品化や、学生によるデザインコンテストを開催し、若者目線での機能・デザインの製品実現に取り組んだ。

【自社ブランド品開発】
新たにBtoC市場に向けた製品開発を行い、自社ブランド品として販売を開始した。