米アマゾン・ドット・コムは7月19日、フェイスブック上で活動するグループ1万件以上の管理者を、アマゾン本社のある米ワシントン州の裁判所に提訴したと明らかにした。
「代金払い戻し」が横行
これらフェイスブック上のグループは、アマゾンのサイトに偽(フェイク)レビューを投稿する人を募っていた。金銭などと引き換えに、商品に有利な高評価のレビューを投稿するよう依頼していた。アマゾンによると、カーステレオやカメラの三脚などアマゾンサイトで販売されている商品数百点が対象になっていた。こうした行為は、米国や英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、日本のアマゾンサイトで横行していたという。
今回の提訴で特定されたグループの1つ「アマゾン・プロダクト・レビュー」は、フェイスブックを運営する米メタによって先ごろ閉鎖されるまで4万3000人超のメンバーがいた。
また、米CNBCによると、2500人超のメンバーがいた別のグループは、偽レビュー投稿者を募ったうえで、出品者に対しレビュー1件に付き10ドル(約1380円)を請求していた。
アマゾンのサイトでは、購入していない商品に対するレビューは投稿件数が制限される。そのため、グループの多くは商品を購入した人を対象に投稿者を募り、好意的なレビューを書く見返りに、商品代金を払い戻していた。米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、昨今はこうした手口が横行しているという。
また、あるグループは投稿者を募る際に、不正を示唆するような文言の一部を他の文字に置き換えて、フェイスブックに検知されないようにしていた。CNBCによると、例えば「Refund after review(レビュー後に払い戻し)」というフレーズを「R**fund Aftr R**vew」に変えていた。
アマゾン、SNS大手に協力要請
アマゾンでは、人間による監視や機械学習を使ったシステムで偽レビューを削除している。不正行為から消費者や出品業者を保護するため、全世界で1万2000人のスタッフを雇い監視を続けている。アマゾンによると、同社は2020年だけでも2億件を超える偽レビューを阻止したという。