このセールでは毎年、人工知能(AI)「Alexa(アレクサ)」の機能を搭載したスマートスピーカーや動画配信端末「Fire TV」などの自社製電子機器を大幅値引きしている。だが、アマゾンがこのイベントに投じる費用はかつてのような規模ではなくなってきたとウォール・ストリート・ジャーナルは指摘する。全体的な割引率を見ると、プライムデーは特段買い得とは言えない状況になっているという。
ネット小売りサービスを提供する米コマースIQによると、電子機器を除き、多くの商品の割引率はプライムデー以外での割引率を上回っていない。
例えば、プライムデーにおける電子機器以外の商品の割引率は30%前後。普段のアマゾン電子商取引(EC)サイトでの割引率とさほど変わらないという。
アマゾンの成長鈍化とプライムデー
プライムデーにおける売り上げの伸び鈍化は、同社事業全体の成長鈍化を反映すると、ウォール・ストリート・ジャーナルは指摘している。
アマゾンの22年1~3月期決算は、売上高が前年同期比同7%増の1164億4400万ドル(約15兆7300億円)だった。
1~3月期として過去最高を更新したものの、伸び率は10年間で最も低い水準。直営EC事業の売上高は511億2900万ドル(約6兆9100億円)と同3%減少した。また、純損益は38億4400万ドル(約5200億円)の赤字。15年1~3月期以来7年ぶりの最終赤字に転落した。
こうした中で、アンディ・ジャシーCEO(最高経営責任者)は現在、新型コロナ禍のEC需要増大に伴い拡大してきた経営資源を削減するべく、対策を講じている。少なくとも1000万平方フィート(約92万9000平方メートル、東京ドーム約20個分)の倉庫スペースをサブリース業者を通じて賃貸しするほか、新たな施設の建設も一時中止する。数十の実店舗を閉鎖し、新規採用も抑制する。
(参考・関連記事)「アマゾンCEO就任1年、余剰資源の削減に奔走中 | JDIR」