ウォール・ストリート・ジャーナルなどによると、ゲートキーパー企業は、自社製品や自社サービスを、プラットフォームに参加する他社の製品/サービスよりも優遇して表示することが禁じられる。これにより、グーグルは自社のインターネットブラウザーや航空便検索、電子メールなどのサービスを検索結果の上部に表示できなくなる可能性がある。また、アマゾンは自社商品を出品業者の商品よりも優先して表示することが困難になる。

 また、サービスを別の自社サービスと連携させることも禁じる。例えばメタは、対話アプリの利用者に、フェイスブックのアカウント取得を要求することが困難になる。

 さらに、アプリ開発企業がアプリストア「App Store」を介すことなく、iPhone用のアプリを配布できるようアップルに要求する可能性もあるという。アップルはかねてアプリを正規ストア以外からインストールする「サイドローディング」に反対している。

 同社の主張は「ハッカーやネット詐欺師がマルウエア(悪意にあるプログラム)をiPhoneにインストールさせることを許してしまう」というもの。今回も「セキュリティとプライバシーのリスクが生じる」と批判している。

「デジタルサービス法案」も協議中

 欧州委は20年12月、DMAとともに、「デジタルサービス法案(DSA)」を公表していた。DSAでは、違法なコンテンツや偽情報、違法商品・サービスの速やかな削除などを義務付けるほか、利用者ごとに異なるオンライン広告について、その表示基準の開示も求めるもよう。こちらもグーグルやメタ、アマゾンが対象になるとみられている。

 ウォール・ストリート・ジャーナルの別の記事によると、EUではDSAに関する協議も着々と進んでいるという。

 同紙によると、米テクノロジー大手の欧州における売上高は巨額。アップルは全売上高の24%、メタは25%と、それぞれ4分の1を占めている。また、グーグルの欧州・中東・アフリカ地域の売上高は全体の31%。アマゾンの欧州売上高(ドイツと英国)は全体の15%だという。

 (参考・関連記事)「アップル幹部が異例のEU批判「規制はパンドラの箱」 | JDIR