ロイターは米調査会社IDCのデータを基に、ロシアのクラウドサービス市場で最大のシェアを持つのはマイクロソフトだと報じている。そのシェアは17%。これにアマゾンの14%、IBMの10%と続く。ロシア企業ヤンデックスのシェアは3%にとどまる。

 ただ、ロシア企業はクラウドサービスにあまり依存していない。国内のIT支出全体に占めるクラウドサービスの比率はわずか5%。米国ではこの比率が19%になる。

 それでも、新型コロナでオンライン化が進み、ロシアのクラウド市場は過去2年間で急成長している。米欧のITサービス企業が相次いでサービスを停止するなか、今後ロシアはヤンデックスなどの地場IT企業に目を向けることになる。だが、IDCのアナリストは、ロシアのIT企業は、サービス品質と料金といった点で米欧企業に劣る可能性があると指摘している。

ロシアのIT基盤、中国企業に交代か

 一方、シンガポールに拠点を置く調査会社カナリスのアナリストは、中国ネット大手であるアリババ集団や騰訊控股(テンセント)などが米欧企業に取って代わる可能性があると述べている。中国の華為技術(ファーウェイ)は21年、モスクワにデータセンターを開設したという。

 ただ、中国企業に対しては米政府がにらみを利かせている。米国は2月24日にロシアへのハイテク製品の輸出規制を発動した。半導体や通信部品、センサーなどの特定の製品を対象とするもので、域外適用となる。つまり、米国製のデバイスや、ソフトウエア、設計などを採用して米国外で製造された製品も禁輸対象となる。

 米ニューヨーク・タイムズは3月8日、ジーナ・レモンド米商務長官が、この輸出規制を拒否する可能性のある中国企業に対し、厳しい警告を発したと報じた。米国製の機器やソフトウエアから、そうした中国企業を締め出すという。

 同氏はニューヨーク・タイムズとのインタビューで「米国の規制に従わず、半導体などの米国の最新技術をロシアに供給し続けた場合、バイデン政権はいかなる中国企業に対しても(サプライチェーンへのアクセスを)遮断する」と強い口調で述べたという。

 (参考・関連記事)「西側テック企業のロシア撤退で中国企業に商機か | JDIR