全社員向けに行われたTeams説明会・基礎操作編での解説画面

 マニュライフ生命は、コロナ禍で始動した社員主導型の組織「エンゲージメント・オフィス」が中心となって、在宅勤務では難しい社内コミュニケーションを活性化させてきた。

 エンゲージメント・オフィスは、コロナ渦の2020年9月より業務を開始した社長直轄組織だ。誰もが働きたくなる魅力的な会社を目指すため、社内公募で採用された室長と自らの業務を継続しながら他部門の業務経験を積むことのできる「しごと交流制度」を通じて参加を希望した社員13人で構成される。取り組む内容は大きく分けて3つで、新しい働き方、社内コミュニケーション活性化、新卒採用・若手育成を掲げている。

「エンゲージメント・オフィスとして、2020年末にコロナ渦で在宅勤務が標準となって困ったことはないか、全社アンケートを実施しました。『オンライン上でのコミュニケーションに課題を感じる』社員が半数以上いたので、これは解消しなければと感じました」(エンゲージメント・オフィス室長の松井孝将さん)

エンゲージメント・オフィス室長の松井孝将さん

パイロットチームを結成し、Teams活用を都度サポート

「コロナ渦の在宅勤務で直接、チームメンバーの仕事状況が見えなくなったので、コミュニケーションツールとなるTeamsを社内で活用しようとパイロットチームを結成しました」と、不動産部所属でエンゲージメント・オフィスのTeams活用推進メンバーも兼務する米山智絵さんは語る。

エンゲージメント・オフィスでTeams活用推進に携わった米山智絵さん

 パイロットチームに選定されたのは、保険金部。約30人が所属し、保険金の査定、支払い、お客さま対応等の業務を担当するこの部署は、社内外でいろいろな人と接する機会が多い。Teamsの習熟度合いはメンバーによって異なり、会議でしか使ったことがない社員、一対一でのやりとりしか経験のない社員も存在した。

 このパイロットチームには、2021年2月から業務内容のヒアリングを行い、Teamsでより効率的になりそうなコミュニケーションをピックアップし、3月の約3週間、日常業務を強制的にTeamsで行うようにしてもらった。例えば、メールで行っていた出退勤連絡は、掲示板のように使用できるTeams上の「チャネル」機能に置き換えた。それまでは全員のメールボックスが毎日の出退勤連絡で埋まっていて非効率的だったが、Teams上に報告場所を移すことで不要なメール処理に追われる手間が省けた。

 また、案件の確認は一次担当者から二次担当者へメールで送付していたが、在宅勤務では相手の忙しさが分からないため、今どんな状況なのかが分かりにくい。そこで、ファイルやテキストメッセージを送信するTeamsの「チャット」機能を活用することに。送信したメッセージを相手が確認すると既読通知が付くため、相手が案件に気付いたタイミングが確認できるようになった。

 誰かにちょっと聞きたい簡単な質問も、チームに投稿すると手の空いたメンバーから即回答が届くようになり、時間ロスがなくなった。また、92%の社員から「Teamsを使って仕事がしやすくなった」と回答があった。パイロットチームのマネージャーも「強制的にTeamsを導入してもあまり使用されないと思っていたが、予想に反して仕事に関するチャネルが活発に使用された。メールのようにあいさつ文が不要なので、コミュニケーションが簡略化され、業務のスピードアップにつながった」と評価した。