【DX普及】誰もがDXを志向する人材に
DX普及段階では、ここまで蓄積してきたデータをいかに利活用していくかを検討する。データを分析し、課題を見つけ出していく。次なる策を打つために、個別最適から全体最適に向けたDXの実行である。
この段階では、チーフデジタルオフィサー(CDO)、デジタルマネジャー、デジタルスペシャリストがキー人材となる。
1つの工場で展開してきた成果を、他の工場へ横展開していくには、CDOの決断と経営幹部への徹底を図っていかなければならない。CDOには組織間の整合性をとること、全体最適のテーマを決めていくことが求められる。
それら改革の主導を行うのが、デジタルマネジャーである。経営に直結する人たちの関与があれば、DX普及も社内でスムーズに行えるのだ。
さらに、この段階では全社員をDX人材に育成していくための整備を行う。前回、紹介した学習する組織が、VUCA時代には求められるからだ。実際の事業を展開しながら、全員で知恵を出し合い、課題解決していく組織の実現を目指す。
【After DX】組織全体で取り組むDX
初期のDXから、サステナブルなDXにしていくには、経営環境に合わせた技術を取り込むことのできるDX人材を育成していく。7人の全てがキー人材であり、ここでやっと有機的に組織が働き始め、DX活動が回っていく。また、外部の専門家に頼っていたのが、社内でも専門家を養成できている段階となる。これによって、組織全体で取り組むDXが実現できる。
DXの推進と成功には、デジタル人材の有効な活用は欠かせない。推進のステップに合わせ、デジタル人材がすべき役割を明確にし、適切な配置を行いながら社内体制を整備していくのがよい。これがDX成功への近道でもある。
経営トップから丸投げされたDX推進が、数人のデジタル人材やチームで解決できるわけはない。デジタル人材は全能の神ではないのだ。この誤解を一刻も早く解き、全社で、社員全体による推進体制づくりを進めてほしいと願っている。
コンサルタント 毛利大 (もうり だい)
デジタルイノベーション事業本部 本部長
シニア・コンサルタント
生産戦略と呼応した生産システム再構築を領域とし、新工場建設、生産プロセス再設計領域で活躍。JMACスマートファクトリー構築のコアコンセプト「TAKUETSU Plant Design Method」「スマートファクトリーイメージセル」を考案。デジタルをテコとしたものづくりのあり方、Dx推進の在り方を常に研究し続け発信。
コンサルタント 神山洋輔 (かみやま ようすけ)
デジタルイノベーション事業本部
スマートファクトリー推進室室長
入社以来、一貫して生産領域のコンサルティングに従事しており、生産戦略立案から現場改善・成果創出まで幅広い支援を行っている。
新工場建設や生産システムデザインに多くの実績あり、デジタルを活用したものづくり革新やスマートファクトリー構築支援を推進している。