パンデミックで大きく舵を切った「人材の要件」

 前回のコラムでは、デジタル人材の役割とスキルを紹介した。これからの経営環境は、いかなる業界であっても、誰がやっても、決して順風満帆の経営が待ち受けているわけではない。まさに、私たちは不透明な時代を生きているのである。

 では、これからの時代を生き抜く人材とはどんなものであろうか。

 一言でいえば、「何をやるか」を自ら考えられる人である。これはビジネスや経営に携わる者であれば、これまでも指摘され、誰もが知るところの人材像だろう。

 先が見通せる経営環境なら、明確な戦略のもとで、効率的に成果を上げる“How”のスキルが求められる。どのようなシステムを構築し、どのように活用すればいいか、得たデータをどう分析するか、それを社内や担当者にいかに教えていくか。これを軽やかに推進できる人材である。

 しかし、ある日、突然、世界を襲うパンデミックによって、ビジネスも私たちの生活もこれまでとは違った脅威を突き付けられた。こんな時代には、Howだけでは通用しない。ことの本質を見極められる能力が必要なのである。これは「Whatを見つけられる人材」といえるだろう。

 では、Whatを見つけられる人材とはどのようなものか。今、ここにある課題がなんであるのか、これらのデータから示唆できることは何か。そして、顧客など対象となる誰かに届けるためには、何を解決していけばよいのか。こうした視点・考えをもつ人材といえよう。Whatの人材は、これまでも声高に望まれてはいたが、パンデミックがその重要性に気付かせてくれたのである。

 まして、今回のパンデミックと同様に、DXは誰もみたことのない未知の世界である。だからこそ、DX時代にはHowの分かる人材とともに、Whatも分かる人材が必要だ。