グローバルマネジメントでは「日本色を出さないこと」が必要

 同社ではSoEプログラムと位置付けているものが3つある。

 まず1つ目が「CRMシステム」だ。これはグローバルで共通のCRMシステムを整備することで、顧客情報を一元管理し、グループ全体で整合性のとれたマーケティング、営業活動に変革する狙いがある。2つ目は「カスタマーポータル」。顧客のタッチポイントをデジタル化することで最適な顧客体験を提供する意図がある。3つ目が「見積り支援システム(CPQ)」だ。同社ではBtoBで特殊で複雑な製品を多数扱っており、その組み合わせも多岐に渡る。そのため、これまで見積りでは一定の期間を要していたが、今後はBtoC並みのスピード見積りを目指すという。

 現場でDXの実務を担当する横河電機デジタル戦略本部DX推進部CXトランスフォーメーション課長の梶川俊一氏が、プロジェクトの進捗状況を次のように説明する。

「今回はそれぞれアジャイル的アプローチでプロジェクトを進めており、スピードを重視するMVP(Minimum Viable Product)という開発手法のもと、スモールスタートでリリースを行いました。今は国内のグループ子会社を手始めに、これから機能追加や、欧米、中東、アジア等グローバル各拠点の運用をスタートさせようとしているところです」

 では、横河電機がこうしたSoEプログラムを導入するにあたって、留意した点とは一体何だろうか。興味深いのは、横河電機でもDXは本社主導で行われているが、グローバルマネジメントを推進すべく、本社の日本人メンバーと各拠点の日本人以外のメンバーをバランス良く構成し、あまり日本色を出さないようにしていることだ。

「日本色の強いマネジメントになってしまうと、どうしてもマイクロマネジメントになりがちで、スピードよりもリスク回避に重点を置く傾向があります。その一方、海外ではある程度リスクをとってもスピードを上げていくのが通常のスタイルであり、このバランスをとらなければ、グローバルマネジメントはうまく機能しなくなってしまうのです」(舩生氏)