アップルとフェイスブックがNSO提訴
アップルは21年11月、NSOグループを提訴したと明らかにした。米カリフォルニア州北部地区の連邦地裁に提出した訴状でアップルは、「ペガサスによって、iPhone利用者の電子メールやテキストメッセージ、ウェブブラウザー閲覧履歴などの情報を収集できてしまう。端末のカメラやマイクへのアクセスも可能にしている」と指摘。アップルのソフトウエアやサービス、端末の使用を恒久的に禁じる命令を出すよう裁判所に求めている。米フェイスブック(現メタ・プラットフォームズ)は19年に、傘下の対話アプリ「WhatsApp(ワッツアップ)」の利用者1400人がNSOグループからマルウエア(悪意のあるプログラム)を送り付けられたとして、カリフォルニア州の連邦地裁に提訴した。
これに対し、NSOグループは「当社の技術は人命を救うために使われてきた。人権を尊重する法治国家の法執行機関や情報機関に提供し、テロリストや犯罪者の追跡・検挙を手助けしてきた」と反論。「当社のソフトウエアを悪用する外国政府との契約も打ち切った」と説明している。
ウォール・ストリート・ジャーナルやCNBCによると、NSOグループは中東やメキシコ、インドなどの政府機関などにスパイウエアを販売したと指摘されている。
イスラエル政府、サイバー技術の輸出規制強化
こうした批判はイスラエル政府にも向けられており、政府も対策に乗り出している。ロイターによると、イスラエル国防省は21年11月、サイバー技術の輸出規制を強化した。NSOグループなどの技術の輸出許可対象国リストからメキシコやモロッコ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦などを除外した。このリストには従来102カ国が記載されていたが、37カ国に減らした。これにより、米国やカナダ、オーストラリア、欧州諸国、日本、韓国などの人権保護を重視する民主主義国のみが残ったという。
エルサレム・ポストによると、イスラエル国防省は21年12月6日、輸出規制強化の一環として、サイバー技術を購入する外国政府に対し、宣誓書への署名を求める措置を取ると発表した。「技術をテロ行為や重大な犯罪の阻止のためだけに使う」と誓わせるもので、「政治的発言や政府批判は重大な犯罪としない」との文言も明記するという。
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