成功は危機感と変化への渇望感にかかっている

 経営参謀としての能力を向上させるには、経験に尽きる側面もあります。しかし、それらの経験の機会は、誰にも平等に用意されており、ポイントは目の前の「出会いの機会」に気付き、つかみ、それを学習へとつなげられるかどうかです。下図は学習力を磨く「ダイヤモンドループ」と私が名付けたものですが、この図のように「きっかけ→機会→経験→学習」のサイクルを回すことで、経営参謀としての能力も向上していきます。

 企業において、トランスフォーメーションが始動するきっかけはさまざまです。「新しいリーダーの誕生、あるいはリーダーシップ構造の変革」「コア事業を支えている“読める市場”のシュリンクへの脅威」「デジタルディスラプターの登場と脅威」など、さまざまなきっかけがあります。いずれにせよ、企業そのものが「今の環境に対して」「自分たちに対して」「将来の変化に対して」どれほどの危機感を持っているのかにかかっています。

 そして「世界がテクノロジーによってこんなに変わる」「それらの変化によって自社にはこんなチャンスが生まれる」、そんな変化への渇望感が、企業カルチャーとして醸成されていけば、そこからトランスフォーメーションへの期待が高まり、始動します。企業には今、長期的トランスフォーメーションが求められており、それを推進するのは企業のリーダー、そしてプロフェッショナル経営参謀です。