ツイッターは21年5月、有料ニュース配信サービスを手掛ける米スクロールを買収すると発表した。21年1月には有料ニューズレター配信プラットフォームを手掛けるオランダ企業、レビューを買収。開発中のサブスク型プレミアム機能でこれら企業のサービスを提供する計画。フェイスブックもこうした流れに乗り、クリエーターを支援して利用者のすそ野を広げたい考えだ。
あの手この手でクリエーター支援
最近、この分野におけるSNSの動きが加速している。ツイッターは21年5月、クリエーターにチップ(投げ銭)を送れる「チップジャー」の試験運用を始めた。6月には、ニューズレターなどの限定コンテンツをフォロワーに配信するサブスクサービス「スーパーフォロー」や、音声ライブ配信機能「スペース」でチケット(入場料)制を導入するクリエーターの募集を開始した。
前述したフェイスブックの音声SNS機能「ライブオーディオルーム」では、発言者や参加者(リスナー)が主催者団体などに寄付したり、参加者が発言者に投げ銭を送ったりできる仕組みを用意する。このほか年内に「サウンドバイツ」と呼ぶ短尺の音声コンテンツをニュースフィード内で提供する計画で、こちらは「オーディオクリエーター基金(Audio Creator Fund)」を通じてクリエーターを資金面で支援する。
激化するクリエーター争奪戦
ロイターによると、米国のクリエーター人口は推計で5000万人。彼らや彼女らはユーチューブなどに動画を投稿したり、サブスタックなどでニューズレターを配信したりして収益を得ている。最近、1週間で22万9000ドル(約2530万円)を稼いだある18歳の女性は、過去7カ月で計140万ドル(約1億5500万円)を受け取ったという。
ユーチューブは短尺動画「Shorts(ショート)」向けに1億ドル(約110億円)の基金を設けた。中国発の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」も20億ドル(約2200億円)の基金を設けるなど、クリエーター争奪競争が激化している。
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