独自の調査方法を見いだす

 上記のような問題を受け、2010年より職場(物流センター)単位でのフィードバック方法に変更した。

 当時は男女や年齢、職位などの属性を細かく分類していたが、個人の特定を防ぐため、そのようなセグメンテーションをやめ、事業所単位のみとした。さらにアウトプットにおいては、A4版1枚の簡単なレポートを作成・配布し、自分の職場の良い点・悪い点が一目で分かるようにした。他部署のよいアイデアも記載し、横展開できるようにもした。

 また、従業員が書いたフリーコメントを大切にした。不満や実現できないような改善案もたくさんあったが、フリーコメントは自社の実態や従業員の考えを理解するために重要であると考えていた。調査開始当初、役員は自宅のコタツの中で100ページ以上にわたる全てのフリーコメントを読むことがお正月の恒例行事になっていたようだ。

 そして、会社が満足を提供するのではなく、従業員一人一人で働きがいを作っていくという考え方から、「従業員満足度調査」を「働きがい調査」という名称に変更した。調査の項目も、「会社が」ではなく「わたしは」「わたしたちは」という設問を設け、基本となるあいさつができているか、自分の頑張りを見てくれているか、などオリジナルの設問に変えることで、自社流の調査に進化させた。

継続した取り組みで成果を上げる

 さらに形に残るもので職場のコミュニケーションを加速させたいという思いから、「STEP!」というA5版の冊子を作成し、現場従業員に配布した。日々のコミュニケーションの在り方、人事面談のやり方、半年に1回の会議の進め方などを解説したもので、社員自身が働きがいを作っていくということを印象付けるために、社員の顔写真を使うなどの工夫をした。

 このような工夫を積み重ねることで、アンケートのコメントも少しずつ前向きなものになり、「そろそろアンケートの季節ですね」と、会社の1つのイベントとして認識されるようにもなった。働きがいも徐々に向上し、近年は安定的に約60%が満足と回答しており、因果関係はさておき会社の売り上げ・利益も上向き傾向である。

 そして、なにより、この取り組みを通じて、会社への満足・不満の評価を行うばかりではなく、働きがいは自分たちが作るものだ、という意識が醸成されたことが大きな成果である。