JPモルガンによると、アマゾンの強みは2つあるという。1つは、食料品やアパレルなど、さらに成長が見込まれる商品分野が残っていること。もう1つはプライム会員の規模。アマゾンのジェフ・ベゾスCEO(最高経営責任者)は21年4月、世界の会員数が2億人を超えたと明らかにした。会員数は20年初頭の1億5000万人から着実に増大している。これが出品業者の販売を押し上げる大きな要因になっている。

 新型コロナ感染拡大の影響でECの利用が増え、小売市場におけるアマゾンの優位性がさらに強固になった。JPモルガンによると、14年に24%だったアマゾンの米国EC市場シェアは20年に39%に拡大した。

70億個の荷物を自社配送、UPSを超える見通し

 こうしたEC需要の増大はアマゾンの他の事業にも寄与している。CNBCは、アマゾンがまもなく米国最大規模の物流業者になると報じている。

 アマゾンは、「ラストマイル」と呼ばれる、最終物流拠点から顧客宅までの配送業務の多くを自社便で賄っている。カナダのサプライチェーン・物流コンサルティング会社MWPVLインターナショナルによると、アマゾンの自社配送による荷物の個数は21年に70億個となり、米ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)の60億個を上回る見通し。

 アマゾンは20年に自社のEC事業を通じ73億5000万個の荷物を顧客に発送した。うち50億個を自社便で配達。残りの12億5000万個と11億個を、UPSと米郵政公社(USPS)がそれぞれ配達したという。

 国土の広い米国では、従来プライム会員向け配送サービスは翌々日配送が標準だった。しかし19年に標準サービスを翌日配送に短縮する目標を掲げ、物流事業への投資を拡大した。

 21年1月には、ボーイングの中型旅客機「767-300」11機を購入したと明らかにした。アマゾンが航空貨物事業「Amazon Air」を始めたのは16年。当初は航空貨物会社からボーイング機をリースしていた。だが、コロナ禍の航空旅客需要の落ち込みを背景に中古機の価格が下落。購入に踏み切った。アマゾンは22年までにリース機を含めて85機超の貨物機を抱えるとみられている。

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