2020年8月30日、茨城県南部で発生した地震に関連した、「精密体感震度」の報告(画像中央付近が東京23区)

 地震が起きた後、気象庁から発表される「震度」が、自分の体感と違うと思ったことがあるのではないだろうか。そのズレをスマートフォンアプリで補うのが、報道ベンチャーのJX通信社が提供する「精密体感震度」機能だ。

2020年8月20日に起きた地震について、気象庁が発表した震度(左)と、「精密体感震度」機能で収集した体感震度(右)

 発表震度と体感にズレが出る理由の一つは、震度計の設置場所と自分のいる場所が少し離れているからだ。気象庁の震度計が置かれているのは全国約4300カ所なので、単純平均すると市町村ごとに2~3カ所となる。設置場所と離れていると、揺れが異なる可能性があるし、地盤の揺れやすさや建物の揺れやすさなどによっても、体感の震度が変わる。

 このようなズレを多くの人の体感震度で補い、早く正確な防災情報として役立てようというのが「精密体感震度」の取り組みだ。

アプリユーザーが一斉に体感を入力

 人々の体感震度の収集には、JX通信社が提供しているニュース速報のスマートフォンアプリ「NewsDigest」を使う。NewsDigestはニュース速報、地震・災害速報、鉄道情報などを伝えるニュースアプリで、月間アクティブユーザーは100万人を超えるという。同社は2020年8月、このアプリに「精密体感震度」の機能を追加した。

 地震が起こったとき、NewsDigestユーザーは感じた揺れの震度を「なし」から「7」までの10段階(5~6は5弱5強6弱6強の4段階に分かれている)でアプリに入力する。体感震度が4以上の場合は、さらに「塀が倒れた」「本棚の本が落ちた」「特に目立った被害はなかった」というような項目から被害内容を選択する。