〔ジレンマ 3〕企業主導施策 vs 従業員一人一人の価値観

 働き方改革が思うように進まない原因の一つに、会社が考えた施策と個人の期待とのギャップが解消されないことがある。会社サイドは良かれと思って連続有給取得を展開したが、それが個人の価値観(少しずつ有給を取りたい)と合わず、かえって一人一人の社員を押さえ付けている状態になっている例は先ほど述べた通りだ。

「働き方改革と言いながら、結局は会社に都合の良い施策の押し付けでは」「仕事とプライベートの在り方なんて放っておいてほしい」「他社の成功例を持ってこられても、ウチの会社は違う」などの声は実に多くの企業で聞かれる。

 こうした状態を放置したままでは、いくら会社主導で行っても本質的な働き方改革としては逆効果だろう。社員の疲弊感、働きがい低下、個人の成長力低下、ひいては企業の成長力低下という悪循環に陥ってしまう。

 こうしたジレンマを解消するには、EX(Employee eXperience:従業員体験)に焦点を当てた取り組みが必要だ。最近になってその重要性に気付き、以下のような取り組みを始めた企業がある。