AIによる「信用スコア」はメガバンクを駆逐するか

IoT時代、<融資や信用取引のルール>が変わる

朝岡 崇史/2019.9.18

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「芝麻信用」のスコアのレベルが高いことで、利用者の花唄の使用限度額が上がるだけでなく、ホテルや各種シェアリングサービス利用時のデポジット不要、ネットショッピングでの返品サービス無料、携帯電話のデータ容量制限の緩和など様々な特典を受けられる。

 一方、J.Scoreの場合、みずほ銀行、ソフトバンク、Yahoo!との情報連携(ユーザー情報をJ.ScoreのIDと結びつける)ことで金利の優遇措置が受けられる他、「AIスコア・リワード」といって、信用スコアのランクに応じてJ.Scoreのアライアンス企業の優待サービスを受けられるという仕組みが用意されている。

 今後、J.Scoreがアリペイのように個人向け融資以外にも金融サービスを拡充させ、同時にリワード(優待サービス)の種類や価値も向上させていくと仮定すると、利用者の「信用スコア」アップのモチベーションとリワードで享受できるバリューの大きさはまさに<相互補完の関係>になる。

 このように考えると、企業と利用者(顧客)との「信用スコア」を介したつながりは、単なるブランドイメージ選好やポイント経済圏では太刀打ちできない、強固なブランドロイヤルティ醸成の決定打になるとは言えないだろうか。

利用者のプライバシーは守られるのか?

「信用スコア」を導入する日本企業は、今回紹介したJ.Score以外にもLINE、NTTドコモ、Yahoo!、メルカリなどと増えてきており、社会的な認知も今後拡大していくことは間違いない。スペースの関係で、それらを一つひとつ詳しく説明する余裕はないが、「信用スコア」を導入している企業を一覧表に整理したので、ぜひ参照していただきたい。

「信用スコア」を導入する日本企業(筆者作成)
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 もしも信用スコアの普及を阻害する要因があるとすれば、上記の表のYahoo!の事例にもあるような「プライバシーが侵害される」といった類の拒絶反応だろう。

「Yahoo!」スコアの場合、信用スコアのポイントが肝心のユーザーには非通知だったことに加え、信用スコア生成がデフォルトで「オプトイン」の設定だった(つまりユーザーの了解なく信用スコアが勝手に自動生成されてしまう)というシステム設計上の不手際があり、ウェブマーケティングの信義則に反するという理由で批判を浴びたという経緯がある。

 しかし、ここまでお読みいただいた読者の方々ならばご明察の通り、J.Scoreの「信用スコア」やアリペイの「芝麻信用」はもちろんのこと、LINE、NTTドコモ、メルカリの「信用スコア」も、決して利用者のプライバシーを丸裸にしたり、点数で機械的に序列化したりするスキームではない。

 スコアの背景にあるプライバシーはブロックし、個人の信用度を測る「ものさし=評価指標」としてのスコアだけを社会で自由に活用できるようにする仕組みなのだ。つまり、個人信用を数値化・可視化することで新たな価値を創造し、社会で活用できるようなシステムを作ることで、個人の生活を豊かにすると同時にサービスを提供する企業側の活動をも活性化させる可能性も秘めている。