今後期待されるユーザーファーストの世界

 MaaSにとどまらず、これまで各社が独自に展開していたサービスを利用者目線でフラットに提供するプラットフォームを作り、利用者の行動履歴や趣味嗜好に合わせて柔軟に対応できるようになれば、様々な業界が効率化され、よりユーザーファーストなサービスが新たに生まれるだろう。

 しかし、現在の日本では、各社が情報の整理や統合を終えるにはもう少し時間が掛かると予想される。欧米では交通機関の運行情報や、駅等の地理的情報はオープンデータとして整備されているが、日本では2020年の東京オリンピックを前にオープンデータ化を推進している段階である。

 さらに日本では道路運送や鉄道等、交通手段ごとに法律が定められているため、既存の輸送業者とMaaS関連の事業社との関係やデータの収集・活用方法等、交通関連の法整備も必要となってくる。今後、官民が連携し、法整備等の体制を整えるとともに、オープンデータ化を実現することで、利用者のニーズに即したMaaSの構築が期待されている。

 そしてMaaSが利用者個人だけではなく、地域や都市全体として機能するようになった時、そこに新たな市場が生まれることは想像に難くない。その時何ができるのか、自社が提供できる付加価値について改めて見直すときだろう。