現在の資産運用理論の基本とされている「現代ポートフォリオ理論」において、投資成果の成否は「アセットアロケーション」にあると理論的に検証されています。アセットアロケーションとは、投資資産の配分比率のこと。具体的には、日本株、外国株(先進国/新興国)、日本債券、外国債券(先進国/新興国)、不動産(日本/外国)などに、どのようなバランスで投資するか。このバランスによって、投資成果の8~9割が決まるといわれています。
まずは、資産運用における目標(時期と金額)を実現するために自分が取ることができるリスクを見定めて、それに応じた資産配分を考える。そのあとで、実際に投資する投信の種類であるインデックス型かアクティブ型か、を考えたいところです。最初に「インデックス型ありき」とする投信選びは、これもまた合理的ではないということになります。
絶対値としての金額が資産運用の目標
もうひとつ、考えてみたいことがあります。「アクティブ型で市場平均を上回ること」「インデックス型で市場平均並みを得る」ことが、いちばん大事なことなのか、ということです。
一般個人の投資家が資産運用を通じて実現したいのは、中長期的に資産を増やし、目標の時期までに目標の金額を手にすることです。相対的な割合ではなく、絶対値としての金額です。程度の問題はあるでしょうが、市場平均に負けても目標を達成することがあり得ますし、市場平均に勝っても目標金額に届かなければ、資産運用が成功したとは言い切れないでしょう。
コストがどれだけ低かろうが、最終的な運用実績が目標金額に達していなければ成功とはいえません。あえてアクティブ投信で大きめのリスクを取って、目標金額をめざす資産配分があってもいいと思います。
投信選びは大局的な視点も忘れずに
アクティブ型投信の機能や使い方、投資する意義などが、もっと議論されてもいいように思います。例えば、お子さんやお孫さんに「どんなところに投資していたの?」と聞かれたら、どう答えますか?
「地球環境をよく考えている会社」「小さいけれど、良い製品をつくる会社」「君がいま使っている○○の会社」のように答えることができたら、投資や資産運用が身近に感じられ、若い世代への金融リテラシー教育になるかもしれません。
そのためには、ファンドマネージャーの運用哲学を吟味して、自分の考えに合った投資戦略を実行している投信に投資するのも一考です。
投資の経済合理性はとても大事ですが、資産運用の目標や意味、アセットアロケーションなど、もう少し大局的な視点も忘れずに投資商品を選びたいですね。