費用対効果の面から見る限り・・・
その大きな理由のひとつがコスト(主に信託報酬)です。投信の運用収益(リターン)は信託報酬を差し引かれたあとの数字なので、信託報酬が高いほど、リターンに対する負担となります。投資期間が長くなればなるほど、複利効果によってその負担度合いが大きくなることを、ご存じの方は多いと思います。
決まった銘柄を機械的に売買するだけのインデックス型に対して、アクティブ型は運用担当者や企業アナリストなど多くの人間の手間ひまをかけて、より大きな収益につながりそうな銘柄を選別して投資します。その分、手数料である信託報酬が高く設定されているわけです。しかし、これがインデックス型に勝てない要因のひとつになっているのは、何とも皮肉なものです。
手数料が高くて3割程度しかインデックス型に勝てない現状では、費用対効果の面から見る限りアクティブ型に投資する意味はない――そう感じる投資家が多いのもうなずけるところです。
アクティブ型がインデックス型に勝つことも
では、老後資金の準備を目的とした長期の資産運用において、投信はインデックス型だけ活用すれば大丈夫なのでしょうか。筆者自身は、投資は合理性に徹する方が目標を達成する可能性が高い、という考え方をもっています。その意味では、最初からインデックス型を中心にした投資ポートフォリオを選ぶのは間違いではありません。
しかし、以下のような事実もあります。
2005年末以前に設定された追加型の日本株投信について、2016年9月末時点で過去10年間の平均リターンをアクティブ型とインデックス型(TOPIX連動型)で比べると、年率で前者が+0.3%、後者が-0.6%でした(ETFと年金専用投信、ラップ専用商品は除く)。
2018年は日本株のアクティブ型のうち、リターンがプラスだった投信は1本だけという厳しい年でした。しかし、運用期間が5年以上の追加型株式投信(ETF、ラップ・SMA専用、ブルベア型、通貨選択型、財形型を除く)について2019年2月末現在で運用期間とリターンを調べた結果、運用期間が5年と10年については、アクティブ型がインデックス型を上回っていました。
まずはアセットアロケーション(資産配分)から
投信選びにおける「アクティブ型 VS インデックス型」という構図は、過去のデータの期間や見方・取り方によって変わってくるのです。合理性とはコストのこと、という意識が強すぎると、運用実績により大きな影響を及ぼすポイントを忘れてしまう危険性がありそうです。