「RPAは、これまでのITではオートメーション化できなかったオペレーションにも活用することが可能です。ロボットが人の行う作業を視認し模倣することで自動化を実行していく、というまったく新しいアプローチを行っているからです。それだけに適用可能な範囲も大変広いわけですが、だからといって既存の業務プロセスの一部を置き換えるというだけでは、その効果は限定的です。

 導入の前段階できちんとBPR(Business Process Re-engineering)を実施し、企業活動全体を俯瞰した上で業務のどの部分にRPAを導入し、それによってどのような成果を目指していくか、ということを全社レベルで検討することで、格段に大きなメリットを享受することができますし、DXの根幹を支える根幹ともなっていくのです」(保坂氏)

 自社が抱える業務プロセスの問題点をしっかりと抽出し、どの部門のどの局面をRPAで自動化すべきなのかを決める。そして、それによって何を目指すのかも明確にしていくべきだと、保坂氏は言う。

「欧米企業では、DXによる省力化で従業員をこれだけ減らすことができた、というようなモノサシで成果を評価する傾向もありますが、日本企業の多くはそのようなドライな尺度でDXを捉えてはいません。

 例えばRPAによる自動化と省力化で働き方改革を進め、時間的余裕を得た従業員を、より前向きでクリエーティブな活動に充てていくという発想の企業のほうが多数です。RPA導入と同時に組織改革を進めていき、旧来型のタテ割の編成ではなく、横串を貫くようなオペレーション体制を整えようとする企業もあります。つまり、経営者の理解と発想次第でRPAは十分に企業変革につながるソリューションと成り得るのです」(保坂氏)

1巡目で失敗組となった企業が
RPAに再チャレンジするための注意点

 一方、多くの企業と向き合っている松野氏は、RPAをめぐる実情について、以下のように解説する。

「実を言えば“RPA導入はすでに2巡目のサイクルに入っている”と私たちは考えています。2~3年ほど前から、コストを売りにする多様なツールベンダーやシステムインテグレーターが急増し、今につながるRPAブームを形成していった過程で、『自社のデジタル化をいち早く進めなければ』という危機意識から、お試し感覚でRPAを導入した企業がたくさんあります。

 しかし、安易に導入したことで、『期待していたほどの効果を得られなかった』と感じる企業が多数出てきてしまいました。いわばRPAの『成功組』と『失敗組』とに別れてしまったというのが実情です。

 このような背景があるからこそ、アバナードでは戦略性をもった導入で再チャレンジすることを提案しています」(松野氏)

 すでにRPAへの取り組みが2巡目に入っているという事実に驚かされるが、早くも「失敗だった」と決め込んでいる企業が存在するからこそ、保坂氏が指摘したような全社ぐるみの戦略的アプローチが必要といえるだろう。それでは、成功組に共通している点は何なのか。