実地訓練が難しい作業の学習に利用

 手順や動作の誤りが大けがや大事故につながりかねない。そんな作業をVRで“安全”に教育する事例も相次いでいる。

 日立製作所と日立ビルシステムは2019年4月、エレベーターなど昇降機の保全に関わるエンジニア向けに、VRを活用した教育システムの運用を正式に始めた。

 エレベーターの安全性を保つうえで極めて重要な役割を果たすブレーキの分解整備作業の手順を、実機がない環境で学習できる。このほかエンジニアの安全意識を高めるために、エレベーターが上下に移動する昇降路内部への転落を疑似的に体感するコンテンツや、作業時にエレベーターの「かご」へ乗降する基本動作を学ぶコンテンツを用意した。

写真4 日立製作所と日立ビルシステムが導入したエレベーターの保全エンジニア向けVRのイメージ(出所:日立製作所)

 日立と日立ビルシステムは今後、コンテンツの拡充を図るとともに多言語化を推進し、海外の拠点にもVR利用の教育システムを展開する予定だ。グローバルでエンジニアの教育の高度化を図っていく。

 三菱電機も2019年4月、愛知県のエレベーター製造拠点に開設した研修センターにVRを用いてエンジニアを育成する仕組みを導入した。エレベーターの設置現場で起こり得る状況をVRで体験することで、危険に対するエンジニアの感度を高める狙いがある。

 また、JR東日本は事故現場での作業や工事に伴う停電手続きなど、実地で訓練するのが難しい作業の学習にVRを使っている。例えば、大宮支社の操車場に設けた安全訓練施設「大宮仮想安全行動訓練所」において、設備メンテナンスエンジニアが脱線事故現場をVRで体験しながら、線路を閉鎖して工事を進める正確な手続きを学べるようにしている。