さらに、ANAは機内のギャレー(厨房)を忠実に再現したVRを用意し、安全確認作業の習得に活用している。カートを所定の位置に固定するストッパーをセットしたか、棚の扉が開かないようにロックしたかなど、50以上の箇所をVRで次々と確認していく。もし確認漏れがあると、離着陸時にカートが滑り出したり棚からモノが落ちたりする状況を再現すると同時に、確認漏れ箇所をVRのギャレーに明示する。

 ANAはVRの導入により反復実習が可能になったことで、業務手順の定着を図りやすくなるといった効果が現れているという。

写真2 安全確認作業を習得するためVRで忠実に再現したギャレー(出所:NEC)

 日本航空(JAL)も2019年4月、VRによる業務のシミュレーターを導入した。国内主要空港で手荷物の搭降載作業などを担うJALグランドサービスにおいて、航空機の牽引訓練をVRで実施している。

 シミュレーターには雨や雪などの気象条件を設定して訓練できる。さらに360度全方位の視野を再現することで、牽引車両の運転席から航空機の車輪付近を「のぞき込む」「振り向く」といった実際の牽引時に行う安全確保の動作にも対応した。また、導入したシミュレーターは持ち運びできるため、使用機材や場所の制約で従来は困難だった地方空港での訓練が可能になった。

写真3 JALが導入した牽引作業のシミュレーターのVRイメージ(出所:日本航空)