EdTech領域のトレンド

 一口にEdTechといっても、「教育」へのアプローチの仕方はサービスによって異なる。事例を見ながら、教育業界が抱える課題や解決の仕方等、トレンドを探ってみよう。

●学習教材「Qubena」
 COMPASSが展開する、AI(人工知能)を搭載したタブレット教材。生徒一人ひとりの学習中の操作ログや計算過程、解答データを分析することで、つまずく原因となっているポイントを特定。その生徒が解くべき問題へと自動的に誘導し、効果的で効率的な学習を支援する。自社が運営する学習塾では中学校数学の1学年分の学習範囲を、従来の学校教育の7倍の速さで修了しているという。
 2019年2月18日には河合塾と共に中学校1年生から高校3年生の学習範囲を網羅した「英語4技能(リーディング、リスニング、ライティング、スピーキング)AI教材」を共同開発し、4月より一部の機能を先行リリースすることを発表。
 同3月5日には文部科学省より理科・数学教育に重きを置くスーパーサイエンスハイスクールに指定されている青翔開智中学校・高等学校への導入が決まったことも発表された。目的は生徒の学習意欲向上や基礎学力強化に加え、数学の教員不足解消や業務不可軽減が挙げられている。

●学習支援プラットフォーム「Classi」
 ICT化を多角的にサポートする教育プラットフォームで、小学校から専門学校まで対応する。Benesseホールディングスとソフトバンクの合弁会社Classiが運営。2014年の提供開始以来、2017年12月時点で全国の4割超となる2100校以上の高等学校に導入され、生徒800万人以上が利用している。
 生徒の学習記録を蓄積していくポートフォリオ機能や、動画やWebテスト等の義務教育から大学入試対策に対応するアダプティブラーニング(適応学習)機能、授業で使う指導教材や提出課題等をクラウド上で管理できるアクティブラーニング機能に加え、教師はもちろん、保護者を交えた双方向のコミュニケーションを活性化させるコミュニケーション機能を備える。
 2019年3月5日には、学校と保護者をつなげるスマートフォン・タブレット向けのアプリケーション「Classiホーム」の提供を開始。教員の負担軽減や保護者の安心につなげる狙いだ。

画像はプレスリリースより引用

●プログラミング教育(STEAM教育)「Springin'」
 しくみデザインが展開する、「つくる楽しさ」にフォーカスした直感型ビジュアルプログラミングアプリ。プログラミングの知識が無くとも、直感的な操作でゲームやアプリの作成が可能。指を使ってタブレット端末に絵を描き、簡単なアイコン操作で動きや能力等を決定。動作の確認も簡単に行えるため、納得がいくまで何度も試しながら徐々に完成させていくことができる。
 また、マーケットから他ユーザーの作品をダウンロードして遊んだり、自分が作りあげた作品をマーケットに出品することも可能。自分の作品がダウンロードされると評価として、作品をやりとりするためのコインを得ることができる。
 子どもだけでなく、親子共に遊びながらプログラミング的思考や想像力を身に付けることができる仕組みで、ワークショップや学習塾、小学校の公開授業等に導入されている。

●幼児教育「ワオっち!」
 乳児、幼児から小学校低学年までの子どもがいる家庭をはじめ、幼稚園・保育園・塾・幼児教室等で使用されている、子供向けの知育・教育アプリシリーズ。個別指導塾アクシスを展開するワオ・コーポレーションが手掛ける。
 楽しみながら幼児期に必要な「文字・会話」「数・計算」等の能力や、ICT機器の操作を身に付けることができる。
 また、企業・団体向けサービスとして、タブレット上を動くロボット「TABO」のプログラミング体験ができる「おはなしプログラミング」を用意。コードを使わず命令ブロックを並べるだけで幼児でもプログラミング体験ができるワークショップとして様々なイベントで採択されている。

●校務支援ツール「SchoolEngine」
 システム ディが展開する、クラウド、センター集中型の校務支援サービス。小・中学校、高等学校、特別支援学校に対応。児童生徒情報の管理から出欠・成績処理、保健や進路管理から通知表や指導要録作成に至るまで、一貫して処理することが可能。その他、教員勤務管理や徴収金管理、教育委員会集計機能といった自治体業務の視点も備える。
 校務事務を効率化し、保護者との情報の共有を促進。学校と教育委員会の連携を強化する仕組みを備え、2018年10月時点で全国約1800校で利用されている。

●リカレント教育(生涯教育)「ストアカ」
 ストリートアカデミーが運営する国内最大級のスキルシェアサービスで、学びたい人と教えたい人とを結ぶ「大人の学びのマーケット」。ビジネススキルから趣味に自分磨きなど、講座のジャンルは170以上に及ぶ。日程や地域、キーワードで受講したい講座を絞り込み、気軽に参加することができる。
 同サービスの講座はオンライン学習ではなく、実際に集い対面で学ぶことを特徴としており、東京メトロと協業して地下鉄の駅構内を活用した新しい「学び」の場を提供する等の取り組みも行っている。
 また、コンセプトの一つに「誰でも先生になれる」を掲げており、定期的に先生になりたい人向けのワークショップも開催している。
 2018年11月22日には総額3億8000万円の資金調達を実施したことを発表した。