2018年12月5日、東京・飯田橋でCDO Club Japan主催の「CDO Summit Tokyo 2018 Winter」が開催された。日本のデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)をリードする企業のCDO(Chief Digital/Data Officer)や、政府・自治体や学術関係者などが集い、現状報告や課題共有および将来展望を実施していく同イベント。今回は「CDO of the Year 2018」の発表が行われることもあり、会場は各界のリーダー200名以上で埋め尽くされた。JBpress Digital Innovation Reviewではこの日の模様を前後編に分けてレポートする。
DXは「改善」ではなく「革命」
「CDO Club Japanは2017年に立ち上がったわけですが、当初CDOという役職を持つ方は3人しかいませんでした。それが今では約60名、2018年中には100名になろうかという勢いです。それだけ日本のDXも進展したということだと、私たちは確信をしていますし、うれしく思っています」
CDO Club Japanの創立者であり代表理事の加茂純氏(参照記事「CDOのグローバル組織『CDO Club Japan』加茂代表が語る」)は、感慨深げな表情で開会の辞を語る。CDOが、たった1年の間に100名レベルにまで増加しているということは、それだけDXを本気で目指す企業が増えたということに他ならないが、加茂氏はその意味と意義をあえて強調する。
「デジタルあるいはデータをビジネスに役立てていこうという流れは、以前からありましたが、DXはデジタル活用による単なる業務の『改善』を指すのではありません。『変革』つまり『革命』でなければいけない。今日この会場にお越しいただいた皆さんはご承知のことと思いますが、企業のあり方自体を変える革命を実行しようとすれば、並大抵の努力では成功しません。力強く引っ張っていくリーダーが絶対に必要。それがCDOなんです。
「『No CDO, No DX』、『CDOなくしてDXなし』。そう提唱し続けてきた私たちの思いが、多くの企業や組織に浸透し広がっているのは間違いないと確信していますが、まだまだわが国のDXは始まったばかり。ですから、この場で明言したいと思います。3年後には300人のCDOがこのサミットに集うようにしていきたい。そう思っています」
こう述べた上で、加茂氏は3年後に向けてのポイントを3つ示した。①デジタル組織の確立、②モデルとなる事例・ケースの増加、③マスから個、所有から利用、生産型から循環型へと急変する世の中の構造に遅れを取ることなく、むしろリードしていくこと。そのうえで、加茂氏はさらにCDO Club Japanが今後注力していくアプローチとして以下のように語った。
「われわれが特にコミットしようとしている事柄もまた3つあります。1つ目はグローバル連携を広げ、深めていくこと。今日、CDO Club IsraelのKama代表が登壇してくれるのも、連携の第一歩です。各国の実態を知り、お手本にしていくことで日本のDXをさらにドライブしていきたいと考えています。2つ目は、このグローバル連携を進めていくためにも2019年中にG20ならぬ『デジタル20』を日本で開催すること。そして3つ目が、企業のみならず行政機関にもどんどんCDOを生み出していくため、支援活動を行っていくことです。今日は経済産業省と内閣府からご登壇をいただきますが、先進各国のように各省庁や自治体にCDO的な役割が定着するようになれば、官民でDXを加速していくことができる。そう信じています」
以上のビジョンを加茂氏が掲げた後、サミットの全12セッションがスタートした。