投信が増加する段階に移行しつつある

 世界的に見れば、ESG投資は確かに広がっています。持続可能な投資(サスティナブル投資)を普及するための国際機関であるGSIAの報告によると、2016年末現在の世界のESG関連投資残高は22兆8900億ドル(約2541兆円)で、2014年からの2年間で25.2%増加したといいます。

 そのうち、日本は約4740億ドルと全体の2%を占める程度でした。しかし、2017年に世界最大級の機関投資家である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がESG投資を具体的にスタート。同法人が2018年8月に刊行した「平成29年度 ESG活動報告」によると、2018年3月末現在で156兆円の全運用資産のうち1.5兆円をESG関連投資で運用しています。

 一方、ESG投信はどうでしょうか。投信評価のモーニングスターが「ESG focus」として分類する投信は2018年10月末現在43本で、合計の純資産残高は2870億円。同社では「ESG投資は、これまでの関心が高まっていた段階から具体的に投信が増加する段階に移行しつつあり、今後も新規設定が増えると予想される」と分析しています。

日本におけるESG投信の純資産残高と銘柄数の推移(2013年10月~2018年10月) (モーニングスターが「ESG Focus」として分類する国内投信(ETF除く)が対象。出所:モーニングスター作成)

この1年間のパフォーマンスは伸び悩み

 では、その運用実績(パフォーマンス)はどうなのでしょうか。結論から言えば、足元では伸び悩んでいるのが現実のようです。

 前述のGPIFは、ESG投資にあたって3つの指数をベンチマークとしたインデックス運用をおこなっています。その指数とは「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」「FTSE Blossom Japan Index」「MSCI日本株女性活躍指数(WIN)」の3つ。2017年4月から2018年3月までのそれぞれの収益率は13.74%、14.83%、15.29%となっており、いずれもTOPIXの収益率を1~2%ほど下回っています(GPIF調べ)。

 こと収益性を重視するなら、素直にTOPIXを連動対象とするインデックス投信に投資した方が効果的と言える結果となっています。